COP27:地域に根ざした気候変動対策教育プロジェクトを紹介

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  • 2022年12月1日     シャルム・エル・シェイク

    2022年11月15日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)はシャルム・エル・シェイクでの第27回気候変動枠組条約締約国会議(COP27)の一環としてサイドイベントを開催し、地域社会に根ざした変革的な気候変動対策について議論しました。COP27気候アクション・ハブで開催された本イベントでは、UNU-IASの主要な取り組みである「持続可能な開発のための教育(ESD)に関する地域の拠点(RCEs)」のグローバルなネットワークが実施している革新的なESDプロジェクトが紹介されました。

    開会セッションで、UNU-IASのフィリップ・ヴォーター コンサルタントは、地域の状況に応じて多様な主体が参画し各コミュニティにおいてESDへの統合的なアプローチに協力して取り組んでいるRCEのグローバルなネットワークの概要について説明しました。また、知識を超えて行動に焦点を当てる際に教育は気候変動対策の鍵となり得ると述べ、カーボンニュートラルや低炭素ガバナンスなどの分野で行動改革に成功してきたRCEの教育プロジェクトの重要性を強調しました。

    コミュニティ内での各RCEアプローチと活動の影響に関するメッセージとともに、気候変動対策に関するRCEの教育プロジェクトの事例を紹介したUNU-IASのビデオも上映されました。

    エル・ボスケ大学「En Modo Acción」のダイアナ・パエス プロジェクト・ディレクターは、「ボゴタから始まる:都市のユースはいかにして低炭素で持続可能な生活様式を実現するための推進力となり得るか」というテーマで、RCEボゴタのプロジェクトについて紹介しました。本プロジェクトでは、持続可能性に関するメッセージを広め、持続可能な都市に向けた取り組みを推進するために、持続可能な生活様式について訓練を受けたユースのリーダーたちが推進役となり「En Modo Acción」というムーブメントを創出しました。この取り組みにおいて、アンケートや市場調査グループを通じて都市のユースの生活様式を調査したところ、彼らがより持続可能な生活様式を望んでいるにもかかわらず、どうすればいいのかわからないと思っていることがわかりました。そこで、ソーシャルメディアやイベント、ワークショップ、コンテストなどを通じて、ユースにメッセージを発信しました。人々がより持続可能な生活様式を実践するようになったことで、6~8カ月後にはカーボン・フットプリントの削減につながり、自分たちの行動がもたらす影響について知れば、より持続可能な生活に向けた行動変化を起こせることが実証されました。

    職人・デザイン&建築のための持続可能性の知識センターのデイビッド・ランガン プロジェクト開発担当者は、RCEデンマークの「持続可能性の実習:持続可能な建築方法の1要素としての木材を使った職業訓練」プロジェクトを紹介し、持続可能な森林管理を支援することの重要性を強調しました。デンマークのコペンハーゲンにおいて、大工の見習いグループが持続可能な建築方法を学び「持続可能性の実習」のムーブメントの基礎を築いたことが解説されました。また、訓練者・技術者・実習生・科学者たちは、気候変動に及ぼす影響の総エネルギーの約40%がグローバルな建設産業によるものであり、有毒・有害物質を使用している、ということを認識した上で、力を合わせて大工の訓練プログラムの開発を手掛けました。ランガン氏は、本プロジェクトから得られた教訓を振り返り、ユースが持続可能性のために行動を起こす能力を養うには、若者を支援するようなエンパワーメントが不可欠であると述べました。本プロジェクトは、研究と教育がいかにして地域の環境問題の解決策を見出すことができるかを示しているだけでなく、さらにグローバルなレベルでの変革に貢献できる可能性があります。

    登壇者たちはまた、教育関係者がこれらの事例からいかに学ぶことができるかについて議論しました。ヴォーター博士は、試行から実施、その後のスケールアップ、というプロジェクトの各段階について言及しました。パエズ氏は、地域の状況を考慮した上で、どこでも実施できる汎用性の高いモデルについて説明しました。ランガン氏は、ユースが変化を起こす力があると自信を持てるよう、実質的に能力を向上させることの重要性を強調しました。