世界環境会議において気候変動やコミュニティに関するイベントを開催

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  • 2019年11月16日

    UNU-IASは、2019年11月3~7日にタイ・バンコクで開催された第10回世界環境教育会議において、イベントを開催しました。同会議は2年ごとに開催され、「地域の知識、コミュニケーション、グローバルなつながり」をテーマとした今回の会議は、アジアでは初の開催となります。会議には、環境教育について地域の知識とグローバルな視点を強化すべく、世界中から参加者が集まりました。

    UNU-IASとUNESCOバンコク事務所が11月4日に開催したサイドイベントでは、「アジアにおける環境教育と評価の実践」をテーマに、アジア太平洋地域の大学の代表者が、環境評価のイニシアティブに関する発表を行いました。これらの大学には、UNU-IASが事務局を務めるProSPER.Net(Promotion of Sustainability in Postgraduate Education and Research)のメンバーである、インドネシア大学やエネルギー資源研究所(TERI)大学校が含まれます。発表された各大学の活動としては、インドネシア大学が環境にやさしい大学の世界ランキングを取りまとめて公表し、サイアム大学もこれに参加しました。フィリピン・ノーマル大学はISO14001の認証を取得し、TERI大学校はProSPER.Netによって立ち上げられた大学評価を実施しています。各大学からの発表は、環境面での持続可能性についての学びが、評価を実施することにより如何に引き出され、大学キャンパスのコミュニティのために高められるかを実証したものでした。このほか、SDGs実施のため高等教育機関がどのように効果的に貢献できるかについても、議論が行われました。

    UNU-IASは、気候変動に対する行動と教育、そしてESDにおけるコミュニティの関与をそれぞれテーマとした2つのワークショップを11月5日に開催しました。
    前者のワークショップは、「教室、市役所、象牙の塔としての大学と海面上昇:国際的な気候政策を地域で実施するための仕組みとして教育に対するマルチステークホルダー・アプローチの活用」をテーマとしたものです。具体的には、UNU-IASが推進する、ESDに関する地域拠点(Regional Centres of Expertise on ESD; RCEs)を例に、マルチステークホルダーのネットワークが、気候変動の緩和や適応に関し意味のある行動を起こすべく、コミュニティでの教育のためにどのようにして協調し効果的なアプローチを提供できるかが議論されました。参加したRCEからは、教育を通じて行動を変革し市役所に政策提言を行うためのプロジェクトが紹介されました。RCEジョージタウン(米国)のプロジェクトは、海岸沿いで洪水を受けやすい自治体における脆弱なコミュニティに対応sるものです。RCEイスカンダル(マレーシア)は、地域の自治体の支援の下で学校での意識を高めて低炭素社会への変革を促すプロジェクトを実施しています。RCEサコン・ナクホン(タイ)は、災害級の洪水に直面した際に大学が果たした経験を基に、災害のリスク管理について発表しました。パネルディスカッションでは、行動への参画が困難な集団・セクターや、気候変動について共通した思い違いなどについて意見が交わされました。また、各地域で問題解決につながる行動を起こすために、成人が学ぶことの重要性についても議論されました。
    後者は、「コミュニティをベースとした環境教育とESD」と題したワークショップで、大学関係者や地方自治体、NGO、ユースなど40人を超える関係者が参加し、コミュニティをベースとしたESDの実践において、SDGsを地域で実施する際の課題を議論しました。さらに、こうした実践を進めるためにSDGsを如何に活用すべきか、地域のコミュニティでESDとSDGsが混同されがちな傾向をどう克服するかについても、意見が交わされました。参加者からは、SDGsを理解するためにはまずコミュニティでの問題を扱うことから始め、また、内容を学ぶだけでなく学ぶことの意味を説明する必要性があると指摘されました。政策立案において教育の位置づけを阻害する構造が存在していることや、現在の教育システムを如何に変革するかについても話題に上りました。各種の政策が地域のコミュニティの2030年及びそれ以降に関する見識を通じていかに形成されうるかについても議論されました。

     

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    これらの活動は、UNU-IASの持続可能な開発のための教育(ESD)プロジェクトの一環として行われました。同プロジェクトは、ESDを広め、加速化させ、主流化するべく、教育とトレーニングを通じて持続可能性の課題に関する地域での解決策の提示や、ESDに関する高等教育の方向付け、効果的なESDを支援するためのキャパシティビルディングなどを行っています。