第1回生物文化多様性国際会議:アジア地域間の学び、対話と協働を生むプラットフォームの重要性を宣言

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  • 2016年11月2日     石川県七尾市

    Photo:UNU-IAS OUIK Photo:UNU-IAS OUIK

    10月27日〜29日、石川県七尾市で第1回生物文化多様性国際会議が開催され、日本を含む37カ国から500人以上が出席しました。二日間を通して、本会議では地域の自然と文化の保全活用を通じた持続可能な地域づくりについて活発な議論がなされ、石川宣言が採択されました。

    アジアの地域社会には、地域の生態系サービスを持続可能な形で守りながら利用するための伝統的な知恵が多く残されており、地域の生態系と文化が密接に関わりつつ変化してきました。本会議では、地域の自然資源と文化資源の保全・公平な分配・持続可能な活用を進めることは、地域の生態系とコミュニティの回復力を強化し、美しい景観を保持しつつ生計を保障することができ、私たちの健康で豊かな生活の実現に重要な役割を担うことが確認されました。

    基調講演において、武内和彦上級客員研究員は、石川の豊かな生物多様性と文化多様性を世界農業遺産「能登の里海里山」や白山ユネスコエコパークなど国際的な取り組みとともに紹介し、国際的な取り組み間の学びあいによる相乗効果を期待できることが石川県の強みでありアジアのモデルとなりうると提案しました。

    石川宣言では、地域の生物多様性と文化多様性を一体的に保全活用していくため、アジアのコミュニティーや地域間の学びあいを進めること、世界農業遺産・ユネスコエコパーク・ジオパーク・ユネスコ世界遺産などの国際的な認証制度の実施を地域活性化に活かしてゆくこと、そして市民・伝統的コミュニティの住民・自治体担当者・ビジネス実践者・研究者など多様な主体の対話とパートナーシップを可能にするプラットフォームの構築を推進していくことを宣言しました。

    同宣言には分科会での議論を受けて、具体的なアクションを含む提言書も付属されました。会議には生物多様性条約事務局から、ブラウリオ・フェレイラ・デ・スーザ・ディアス事務局長、ユネスコからフラヴィア・シュレーゲル事務局長補が参加し、生物多様性と文化多様性は人類の共通財産であること、その保全と活用のための統合的なアプローチが必要であること、有効な実施における地方自治体の役割の重要であることを強調しました。

    石川宣言を含む国際会議の成果はメキシコのカンクンで開催されるCOP13 で発信される予定です。

    生物文化多様性国際会議での主な内容

    • 27日:45口頭発表、43ポスター発表を含む分科会
    • 28日:全体会合と日タイの高校生による生物文化多様性ユースセッション、クロージングイベント
    • 29日:フィールドエクスカージョン

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