高等教育サステイナビリティ・イニシアティブ(HESI)円卓会議:将来の高等教育をどのように再構築できるか?

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  • 2020年7月18日     ニューヨーク

    国連持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)において、今後の高等教育の再構築に焦点を当てて行われた高等教育サステイナビリティ・イニシアティブ(HESI)特別イベントでの議論に基づき、2020年7月15日にHESI円卓会議が開催されました。本会議は、将来に向けた実用的な議論と行動を再考するために実施されたものです。高等教育における多様な主体(ステークホルダー)が、持続可能な開発のための高等教育を再構築する上での各自の役割と取り組み、そして今後の計画について話し合う機会となりました。合計17のHESIメンバーが、これまでに各組織が取り組んできた対策と、今後どのようにHESIの活動に参画していきたいかなど将来の方向性をまとめた計画案について、発表を行いました。

    UNU-IASは、持続可能な開発のための教育(ESD)事業を通して行っている、持続可能性の促進を目指す取り組みについて述べました。特に、持続可能な開発を大学院コースや研究に取り入れているアジア太平洋地域の大学ネットワークであるProSPER.Net(アジア太平洋環境大学院ネットワーク)を説明しました。当ネットワークでは、加盟大学間での共同研究プロジェクトや、能力構築プログラムを行っています。また現在は、ネットワーク加盟大学のパンデミック(感染症の世界的流行)への対応に関する調査も実施しています。調査の一環として最近行われたアンケートの結果を報告した山口しのぶUNU-IAS所長は、幅広い取り組みを通した高等教育の再構築と再方向付けに加え、特に今COVID-19パンデミックからのより良い復興に向けての体系的な思考を行う必要性を強調しました。

    また、2021年のHESIにおいて重点を置く分野についても議論されました。パンデミックを契機として、大学は課題を解決する方策の提供を求められるようになっていきています。そのため、特に気候変動などの緊急を要する分野で、高等教育機関はその役割を最大限に活かす前例のない機会を得ています。そのような状況にあって、若者の意見をさらに取り入れ、支援に活かすことは非常に重要です。また、政策決定の立場にある人々と効果的に連携すること、高等教育の社会における重要性と価値を実証すること、そして高等教育機関の意見を確実に生かしていくことが、今後の活動の上で短期的・長期的に必要不可欠です。

    本円卓会議で行われた議論から、HESIネットワーク全体に、取り組む主題、イベント、研究機会を通じて、協力関係が存在していることが明らかとなりました。この相互協力が、コミュニティ全体で活用可能な多様な手段と人材をもたらし、お互いに得ることの多い協力関係を築いていくことが期待されます。本会議は、上記の点をより深く理解するための貴重な機会となりました。また、HESIが、高等教育の再構築に向けた取組みを今後どのように続けていくべきかを考える場をも提供しました。今後もHESIは、未来に向けた高等教育の再構築という目標に向かって、HESIネットワーク内の多くのステークホルダーや関係者との連携を深めていきます。

    本円卓会議の録画映像はこちらからご視聴いただけます。