気候&SDGsシナジー会議サイドイベント:多様なステークホルダー間連携と地域の行動について議論

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  • 2022年7月22日     東京

    Photo: Christian Brauneck / UNU-IAS

    2022年7月21日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、「第3回パリ協定とSDGsのシナジー強化に関する国際会議」のサイドイベントを開催し、ネット ゼロ エミッションおよびSDGsの達成に向けた社会的変革を促進する上でますます重要性を増している、地域のアクターの役割について議論しました。

    本イベントでは、気候変動や持続可能な開発に関して地域の行動を加速する多様なステークホルダー間の連携、およびユース参画の活性化のための優良事例が共有され、課題と機会についての検討が行われました。国連組織、学術界、市民団体、ユース、地域社会などからの登壇者が一堂に会し、気候行動とSDGsについて様々な視点から積極的な議論が交わされました。

    開会挨拶にて、UNU-IASの山口しのぶ所長は、社会変革に向けた行動が効果的で公正で可能なものとなるのは、私たちがパートナーシップを通じて協働した時だけであることを強調しました。そして、SDGsの地域別指標および持続可能な観光地経営指標の開発と実施を行っているいしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(OUIK)の取り組みなど、地域の知識を生成し、結集し、拡張するためのパートナーシップを、UNU-IASがどのように構築しているのか紹介しました。UNU-IASはまた、持続可能な都市開発のためのアジア太平洋首長アカデミー などの活動を通じて、地域の人々の国際的な議論へのアクセスを促進し、アジアをはじめとする地域において、リーダーシップを強化する能力を構築するアウトリーチ活動を行ってきました。

    金沢市の村山卓市長は、SDGsのローカライゼーションに向けた金沢市の官民のパートナーシップ、およびグリーンインフラと持続可能な都市自然に関する取り組みを紹介しました。「金沢SDGs5つの方向性」では、「古くて新しくて心地よいまち」・「“もったいない”がないまち」・「子供がゆめを描けるまち」・「働きがいも、生きがいも得られるまち」・「新しいもの、ことを生み出すまち」という5つの行動目標が謳われています。

    金沢青年会議所理事長の林泰三氏は、企業からの視点を共有しつつ、金沢青年会議所の概要とSDGs達成に向けた取り組みについて語りました。金沢青年会議所は、2015年にSDGs達成に向けてポジティブに行動していくことを決意し、金沢宣言を採択しました。

    大学と地域社会との間の連携に取り組んでいる金沢大学のアイーダ・ママードゥア准教授は、SDGsを推進する上で金沢大学にいかに地の利があるのか、について解説しました。また、地域とグローバルでの能力育成のための活動を組み合わせていくことの必要性、そして気候行動と持続可能な社会達成に向けた原動力である若者たちの果たす重要な役割について強調しました。


    若者からの意見として、愛媛大学附属高等学校 理科部 プラガールズチームの村上陽向氏は、海洋性細菌を利用した生分解性プラスチックを開発し、海洋生態系内におけるマイクロプラスチック汚染の軽減を試みてきたことなど、「プラガールズチーム」がいかにマイクロプラスチックに関する問題解決を目指して研究を行ってきたのかを説明しました。

    国連大学欧州事務所副学長、環境・人間の安全保障研究所(UNU-EHS)のシェン シャオメン所長は、アフリカにおける多様なステークホルダー間の連携についての事例研究に触れ、若者と女性がアフリカ経済において極めて重要な役割を果たし得ることを強調しました。同様に、多様なステークホルダー間連携プロジェクトの一例として、RethinkActionプロジェクトのスペインの事例を紹介しました。

    ICLEI米国メンバーでもある米国ハワイ州マウイ郡議会のケリー・タカヤ・キング議員は、マウイにおける自然と開発の等価値性について述べ、資源を維持しつつ気候変動と闘うために、持続可能な開発に関して協働することの必要性を強調しました。キング議員は、地域から生まれたSDGsのための枠組であるAloha+ Challengeについても紹介しました。

    国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)環境及び開発部門 持続可能な都市開発セクション 都市・気候変動担当のオマール・シデック首席は、アジア太平洋地域のSDGsに関する進捗状況を概観しました。そして、 気候変動問題の複雑性と規模を踏まえ、多様なレベルのガバナンスの枠組の必要性と、そして気候行動を可能にするような環境を整えることの重要性を強調しました。

    本イベントの司会は、UNU-IASの渡辺綱男シニアプログラムコーディネーターが務めました。