UNUの専門家がCOVID-19後の社会のレジリエンスについて協議

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  • 2021年9月24日     オンライン

    2021年9月9日、UNU-IASが国連大学環境・人間の安全保障研究所(UNU-EHS)と共催したパネル討論において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の文脈における社会の脆弱性が協議されました。2021年国連大学世界開発経済研究所(UNU-WIDER)開発会議の一環で行われた同討論では、UNU-IASおよびUNU-EHSによる研究や、UNU Water Networkを含むパートナーシップ活動が紹介されました。

    COVID-19後の社会のレジリエンス構築に主眼を置いた同セッションでは、社会の脆弱性を (i) 都市環境、(ii) 地域コミュニティと生物多様性、(iii) COVID-19で明らかになった災害リスク、の3つの観点から検証し、レジリエンス支援に向けた解決策が協議されました。

    UNU-IASの福士謙介アカデミック・ディレクターは、都市の環境とレジリエンスに関する発表の中でサステイナビリティの概念を紹介し、都市のレジリエンス確保の手段として、排水のモニタリングを通した感染症探知と都市の健康リスクの緩和の有効性について述べました。

    UNU-IASの西麻衣子リサーチフェローは、地域コミュニティと生物多様性の繋がりに関して、新興感染症の70%が動物由来である事実に触れ、生物多様性が人間の福利に果たす役割を強調しました。また、人間のニーズと生物多様性保全との調和を図り、地域コミュニティのレジリエンスを高める方策として、国際SATOYAMAイニシアティブと、同イニシアティブが提唱するランドスケープ・アプローチに言及しました。

    UNU-EHSのジータ・セベスバリ副所長からは、災害リスクとCOVID-19についての発表の中で、UNU-EHSが同日発表した報告書「Disaster Risks in an Interconnected World」が紹介されました。2020年~2021年に発生した10の災害について共通パターンや関連性を検証した同報告書では、米テキサス州の大寒波、レバノン・ベイルート港爆発事故、バングラデシュおよびインドのサイクロン等の災害の後にCOVID-19の発生率上昇が確認されました。理由として、COVID-19により災害対応の有効性が低下した結果、物資の流通が断続し社会の脆弱性が高まったことなどが挙げられました。

    続く討論においては、これまでの発表で触れられた各種対策やアプローチの実施に必要な行動が改めて確認されました。具体的には、さまざまな災害の間の関連性や人々の暮らしと生物多様性の繋がりに対する意識の向上、多種多様なセクターや利害関係者のコミュニケーションを可能にする共通目標の重要性、関係者間の議論促進に果たす学術界の役割などが認識されました。