UNU-IASとは

概要
研究テーマ
沿革
所長
  • 国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、人類と地球の持続可能な未来を実現するために設立された研究・教育機関です。東京を拠点に、政策立案に役立つ情報を提供し、国連システムの優先課題に対処するよう、エビデンスに基づいた知識と解決策を生み出すことで、国際社会に貢献しています。

    本研究所は、政策志向型の研究と能力育成を通じ、「持続可能な開発のためのガバナンス」、「生物多様性と社会」、「水と資源管理」、「イノベーションと教育」という4つのテーマにおいて研究・教育を推進しています。学問と政策立案の両面から、これらの分野の専門知識の横断的な統合を通じてサステイナビリティに関する知識を結集し、2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)達成のための世界的な取り組みに貢献し新たな価値を創造します。またUNU-IASは、革新的な研究手法と多様なアプローチを駆使し、従来的な考え方に挑むことで、地球規模で懸念される課題に対して独創的な解決策を生み出そうとしています。我々の研究、教育および人材育成は、研究者や提携機関との世界的なネットワークと連携することで、政策立案者たちと科学・学術コミュニティとの間の相互的な結びつきを強め、サステイナブルな問題解決の実現を目指しています。さらに、石川県金沢市にある、いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニットを含め、現地コミュニティを中心とした研究を通じて、多様なステークホルダーとのパートナーシップを構築することによって、SDGsのローカリゼーションを促進し、同時に様々な世界的な重要課題を地域化するためのモデルを開発しています。

    UNU-IASの大学院教育は、持続可能な社会に向けて、世界的な取り組みの最前線に立つ未来の政策立案者や研究者を育成し、様々な分野における社会変容に貢献することを目指しています。本研究所では、日本や海外の主要大学との緊密な協力のもと、修士・博士課程ポスドク・フェローシップ、並びに短期集中コースなどを提供しています。

    国連大学の研究所

    UNU-IASは、持続可能性に関する問題の解決を目指すというユニークな使命を持つ国連大学(UNU)の研究所です。世界規模のシンクタンクであるとともに、大学院教育機関でもある国連大学は、世界12カ国に拠点を置く13の研究所から構成されています。その使命は、研究、教育、協働事業を通じて、国連、世界の人々、および加盟諸国が関心を寄せる、人類の生存・発展・福祉についての地球規模の課題を解決する取り組みに貢献することです。これを実現するにあたり、国連加盟諸国の主要な大学や研究機関らと協力することで、国際的な学術コミュニティと国連システムとの架け橋として機能しています。また、国連を構成する基幹組織の一部として、UNUは他の国連組織、プログラム、委員会、基金、および条約事務局との緊密な協力関係を維持しています。

  • 研究テーマ

    1.「持続可能な開発のためのガバナンス」
    持続可能な開発を進めるには、SDGsとその関連目標の全世界的なビジョンを実際の行動へと変換し、その効果的な実施を確実に行なっていく必要があります。 UNU-IASは、その専門知識、専門化ネットワーク、多様な世界的なパートナーシップを活用し、持続可能な開発のためのガバナンスと政策立案プロセスを強化し、同時にこれらの地球規模課題をローカライズ(地域化)することを目指します。

    2.「生物多様性と社会」
    豊かな地球、および地球に支えられた命の営みを維持していくためには、生物多様性を推進するために速やかに行動することが必要です。 UNU-IASは、自然と調和した生き方を目指す行動変容を促進し、それをサポートするためのあらゆる変化を加速するため、人間と環境の関係を重視した立場に基づく問題解決を推進しています。我々の研究は、生産ランドスケープ・シースケープの持続可能な管理に焦点を当て、 ポスト2020生物多様性世界枠組を実現するためのエビデンスに基づいた情報を提供しています。 UNU-IASは、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)の事務局として、人間と自然の互恵関係を構築するために、世界中の279の加盟組織による取り組みを活用しています。また、技術的・制度的な能力開発活動を通じて、政府や他のステークホルダーによるランドスケープ・アプローチの活用の支援し、イニシアティブへの参加および包括的な管理を推進しています。

    3.「水と資源管理」
    水は持続可能な開発の中心であり、人々の暮らし、健康、生態系、インフラを結びつけています。特に、SDGs目標 6.「安全な水とトイレを世界中に」の達成に向けたアクセスを確保するためには、水資源の管理の在り方を変容させる必要があります。 UNU-IASは、水に関する様々な危機を克服し、レジリエンスを高め、脱炭素化を目指した循環型経済の構築を促進する地方分散型の持続可能なアプローチを開発しています。

    4.「イノベーションと教育」
    より持続可能な社会の構築は、本質的に、創造的で革新的な解決策の促進と教育を通じた人々のエンパワーメントにかかっています。UNU-IASは、政策志向型の研究を駆使し、様々な能力開発、多様なパートナーシップを通じて、より持続可能な社会の実現に向けた行動変容のための知識の構築と生涯学習の実現に貢献します。

  • UNU-IASは、既存の2つの国連大学研究所(横浜の国連大学高等研究所と、東京の国連大学サステイナビリティと平和研究所)の統合により、2014年1月1日に設立されました。UNU-IASは、これら2つの研究所と、それ以前に国連大学が40年以上にわたって積み上げてきた学術活動を引き継ぐ形で生まれました。

    前身である2つの研究所のうち、国連大学高等研究所は、社会システムと自然システムの相互関係を探り、持続可能な開発に向けた戦略的道筋を明らかにすることを目的に、1996年に設立されました。同研究所では、生物多様性、持続可能な開発のガバナンス、都市生態系、開発途上国と後発開発途上国のための科学技術政策オプション、および持続可能な開発のための教育を中心的テーマとしていました。また、2011年には大学院学位プログラム「環境ガバナンス生物多様性修士課程」を開講しました。

    もう1つの前身である、国連大学サステイナビリティと平和研究所は、東京の国連大学本部に拠点を置く2つの国連大学学術プログラム(国連大学「環境と持続可能な開発」プログラムおよび「平和とガバナンス」プログラム)の統合により、2009年に設立されました。UNU-ISPの活動は「地球変動」、「平和と人権」、「開発」という3つの分野で、地球規模の喫緊の課題との相関性を明らかにすることを使命としていました。UNU-ISPは2010年9月、国連大学初となる大学院プログラム「サステイナビリティ・開発・平和学修士課程」を導入しました。

  • 所長Dr. Shinobu Yume Yamaguchi assumed leadership of UNU-IAS in November 2019. Her fields of specialisation include international development and cooperation, ICT in education, reform and policy of education, science and technology policy, and the application of technology in world heritage site preservation. Prior to this post, Dr Yamaguchi worked at Tokyo Institute of Technology as an Associate Professor (2002‒2006) and then full Professor (from 2006). In 2005‒2007, she concurrently served as Advisor to the President.

    Before joining Tokyo Institute of Technology, Dr Yamaguchi worked for the United Nations Educational Scientific and Cultural Organization (UNESCO), first at the Paris headquarters, and then in the Beijing Office. While with UNESCO, she was involved primarily in the development of education systems in China, Indonesia, Mongolia, and Pakistan.

    Dr Yamaguchi is an Associate Member of the Science Council of Japan, and an active member of the Comparative and International Education Society, the Japan Society for International Development, Educational Research Association, and the World Council of Comparative Education Societies. She also has served on numerous committees focused on international activities and comparative educational studies, including those organised by the Japan Ministry of Foreign Affairs and Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology, the Japan International Cooperation Agency, and the Japan Society for the Promotion of Science.

    Dr Yamaguchi holds a PhD in Economics of Education from Columbia University (New York). She has authored or co-authored more than 200 publications and conference/seminar presentations.