所長からのごあいさつ

概要
  • takemoto-bw-150 2018年、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、学際的かつ科学的根拠にもとづいた知識を構築し、持続可能な社会の実現に向けたグローバルな政策決定プロセスに貢献しました。

    UNU-IASの研究、政策立案、能力開発における活動は、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」、気候変動に関する「パリ協定」、「生物多様性条約」(CBD)、災害リスク軽減のための「仙台防災枠組」などの実施を促進させました。

    UNU-IASのガバナンスと持続可能な開発目標(SDGs)に関する研究は、2018年にニューヨークで開催された「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム」(HLPF)といった世界的な政治対話に貢献しました。HLPFでは、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)と共同で作成した国連加盟国のマルチステークホルダー型パートナーシップ構築を支援するためのガイドラインを発表しました。UNU-IASの教育と知識育成のプラットフォームでは、国・地域レベルの政策立案に必要な情報を提供し、SDGsの達成能力を強化しました。

    本研究所は、2020年までに「愛知目標」を達成するための取り組みや、2020年以降のグローバルな生物多様性枠組みの構築を支援し、継続して生物多様性と生態系の持続可能な利用の促進に向け貢献しました。UNU-IASは、3月に開催された生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)第6回総会、11月にシャルム・エル・シェイク(エジプト)で開催された生物多様性条約第14回締約国会議(CBD COP14)において、積極的にその役割を果たしました。

    またUNU-IASは、IPCCの「1.5℃特別報告書」などの気候変動の影響評価にも貢献しました。途上国への低炭素技術移転に関する研究と、サハラ以南アフリカにおける食料安全保障に関する研究をとりまとめ、主要学術誌などの出版物を通じて広く発信しました。UNFCCC、 国連国際防災戦略事務局(UNISDR)といったパートナーと共催したワークショップや公開イベントでは、気候変動、防災および「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の相関関係に関する分析結果を提示しました。

    本研究所は大学院学位プログラムを通じて、次世代の政策立案者や研究者を育成してきました。この1年間で修士課程の学生7名と博士課程の学生2名が卒業し、9月には修士課程に12名、博士課程に3名の新入生を迎えました。

    2019年の優先課題

    UNU-IASの研究および政策立案においては、SDGsのゴール間のシナジーとトレードオフに考慮しつつ、2030年までのSDGs達成に向けた世界的な取り組みの推進に重点を置いて進めてまいります。「持続可能な開発のためのガバナンス」(GSD)プロジェクトでは、「2030アジェンダ」に関するグローバルな議論に貢献するとともに、地域レベルにおけるSDGsのローカライゼーションに関する知見を提供していきます。また持続可能な開発のための水(WSD)に関する新たな研究は、水環境管理の改善によるSDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」などの目標達成に向けた取り組みに貢献します。

    「自然資本と生物多様性」(NCB)プログラムは、CBD事務局などのパートナーと緊密に連携しながら、2020年以降のグローバルな生物多様性枠組みの構築に積極的に関与していきます。UNU-IASは、引き続き本研究所の世界的なネットワークを活用した知見の確立と共有を通して、里山・里海と呼ばれる自然の持続可能な管理の構築推進に、主導的な役割を果たしていきます。UNU-IASの研究活動によって、IPBESによる生物多様性と生態系サービスの評価に貢献するとともに、生物文化多様性の概念をさらに広めていきます。

    またSDGsとの相乗効果を高めつつ、気候変動への適応と緩和、レジリエンス強化および災害ガバナンスに関する戦略の構築に取り組みます。特に、社会・生態システムとレジリエンス、「生態系を活用した防災・減災」(eco-DRR)と気候変動適応との相互作用に重点を置きます。

    UNU-IASは、これらの分野における取り組みを通し、これからも地球規模の目標達成に向けた政策決定に貢献し、地球的視野から持続可能な社会構築を目指し努めてまいります。また、国や地域レベルにおいて「2030アジェンダ」を行動に結びつけていくための取り組みに注力していきます。

    この場をお借りして、UNU-IASの活動をご支援して下さっている皆様に厚く御礼申し上げます。また意欲的に活動に取り組む職員、フェロー、学生の皆さんにも深く感謝致します。今後訪れる様々な機会を活かし、協力して取り組むことによって、2019年もUNU-IASにとってさらなる進展と成功の1年になると確信しております。

    2019年3月
    UNU-IAS所長
    竹本和彦