所長就任のご挨拶

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  • 2014年1月21日     東京

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    新しく設立された国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)の初代所長としてご挨拶申し上げます。この度、本研究所の前身である国連大学サステイナビリティと平和研究所(UNU-ISP)と国連大学高等研究所(旧UNU-IAS)の統合により新設された本研究所の所長に就任することとなりました。このような貴重な機会を頂くことができ、大変光栄に存じます。

    UNU-IASには、前身の2つの研究所に加え、35年以上にわたる東京での国連大学の学術活動の基盤があります。UNU-ISP及び旧UNU- IASは、いずれも顕著な研究実績を上げ、世界中の協力者やステークホルダーから高い評価を頂いて参りました。具体的には、気候変動と生態系変化、生物多様性、自然災害、グローバル人間開発、持続可能な開発のための教育、持続可能な消費と生産、伝統的知識やガバナンスなどの分野です。

    さらに、これまでUNU-ISPと旧UNU-IASの教育や能力開発プログラムからは、沢山の学生が巣立ちました。近年においては、両研究所による 大学院修士課程・博士課程プログラムが開始され、卒業生達は、本学で学んだ科学的知識と実用技術をもって世界中で活躍しています。

    このような広範囲にわたる両研究所の活動や専門性を受け継ぐことは、大変名誉なことであると同時に、身が引き締まる思いでおります。私共の目標は、 UNU-ISP及び旧UNU-IASの人的資源・財源を統合することにより、今までの活動を強化し、重視すべき点を改め、国際社会への影響力を高めること です。国連大学理事会は、前身の2つの研究所それぞれの強みを活かし、国連大学をご支援頂いている皆様のご期待に添える最良の機会として、本研究所の設立 を歓迎しています。

    本研究所の使命は、持続可能性のための政策対応型研究と能力開発活動を通して、国際社会に貢献することです。持続可能性には、社会的、経済的、環境 的側面がありますが、本研究所で中心となって取り組む3つのテーマは、グローバル人間開発、自然資本と生物多様性、地球環境の変化とレジリエンスです。世 界中の一流大学との緊密な協力のもと、この3つのテーマにおける大学院教育も続けます。

    また、国連の政策立案コミュニティとより緊密に連携し、本研究所の認知度を高めることにより、国際社会にこれまで以上に貢献することを目指します。 一例として、今年は国際社会において、ポスト2015年持続可能な開発アジェンダの合意を形成するための重要な年であり、本研究所はこの過程に積極的に貢 献します。

    ここ日本において、日本政府や地方自治体の皆様を初め、日頃ご支援頂いている皆様方との関係についても、これまで以上に強化して参りたいと存じます。日本の皆様方からの貴重なご支援にお応えすべく、当研究所の活動を皆様にお伝えして参ります。

    最後に、これまで、UNU-ISP及び旧UNU-IASをご支援頂いてきた皆様に深く感謝申し上げます。これまでの繋がりをもとに、皆様と連携して 活動を続けることを楽しみにしております。またこの場をお借りして、長年にわたり、UNU-ISPと旧UNU-IASに貴重なご支援ご鞭撻を頂いた評議会と国連大学理事会にも感謝の意を表します。新しい研究所が受け継いだ勤勉かつ熱心なチームを築き上げた両研究所の前所長にも感謝致します。

    私共の独自の重点、専門性、研究と活動におけるアプローチにより、本研究所は地球の持続可能性において困難かつ喫緊である課題に対応し、重要な貢献 ができる潜在的な力を持っています。私はこの力の実現と本研究所の成長に向けて努力して参ります。皆様と連携することで、共に持続可能な未来の実現に貢献できると確信しております。

    2014年1月
    UNU-IAS 所長
    竹本和彦