募集:食料・環境問題解決のための途上国農業研究能力構築事業

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  • 2014年5月26日

    食料・農業問題解決のための途上国農業研究能力構築事業対象プログラムの2014年度募集を開始しました。
    本事業は日本国農林水産省の拠出により、国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(以下「国連大学」という。)が実施するものです。

    1.事業概要

    本事業は、研修実施受入機関(以下「ホスト研究機関」という。)の責任の下に、食料・環境問題の解決に向けた研究を行っている先進的研究者が企画し、途上国の若手研究者の人材育成を途上国において実施するためのオン・ザ・ジョブ・トレーニング(以下「OJT」という。)を中心とした研修プログラムに対し、国連大学が支援するものです。
    これにより、途上国において技術革新による生産性の向上や研究体制の強化を図るとともに、研究者間の人的ネットワークを構築し、最終的には世界の食料・環境問題の解決に貢献することを目的とするものです。
    個々の研修プログラムは、先進的研究者(以下「ホスト研究者」という。)が企画し、実施するもので、(1)ホスト研究者の下、途上国の若手研究者(研修生)へのOJTを通じた研究能力の向上、(2)OJT後に研修生が取り組む技術普及・研究活動計画(以下「アクションプラン」という。)の作成指導、(3)研修生が現地で取り組むアクションプラン実行のフォローアップの3つの要素により構成されます。

    2.提案募集する研修プログラムの要件

    研修プログラムは、食料や環境問題を解決するための農林水産業に関連する分野とします。特に、今年度においては、気候変動緩和策や越境性の疾病・病害虫対策に関連する分野を優先的に実施します。

    また、研修プログラムの構成は、(1)ホスト研究者の下でのOJT、(2)OJT後に研修生が取り組むアクションプランの作成指導、(3)研修生が現地で取り組むアクションプラン実行のフォローアップの3つの要素のすべてをもって1つのトレーニングプログラム提案とし、詳細は以下のとおりです。
    (1)ホスト研究者の下でのOJT
    1人のホスト研究者が、研修生を研究に従事させながら研修します。受入研修生の数は問いませんが、効率性の観点から可能な範囲で複数を受け入れることが望ましいです。
    また、受入期間中、研修生が相当な生活水準を維持できるよう留意して下さい。研修時期は、全員が同時期でも、各人が別々の時期でもよいものとします。研修の実施に当たっては、必要に応じて補助講師をつけることが可能です。
    OJTの期間は、原則として1~3か月程度ですが、研修内容等により更に期間が必要と認められる場合は、「3.研修プログラムへの助成限度額」の範囲内で延長することが可能です。
    (2)OJT後に研修生が取り組むアクションプランの作成指導
    (1)でのOJTの期間中に、OJT後、習得した技術をいかに現場での研究に活かしていくか、OJT後に研修生が取り組むアクションプランをホスト研究者が研修生に作成させます。
    (3)研修生が現地で取り組むアクションプラン実行のフォローアップ
    OJT後、アクションプランに基づき研修生が取り組む活動に対し、ホスト研究者が出張し指導をすることにより、着実な現地での技術普及・研究活動に資するものとします。

    3.研修プログラムへの助成限度額

    研修プログラム1件当たり15,000USドルを上限として、OJTの期間及び人数に応じて、OJTに必要な費用(研修生1人1か月当たり2,200USドルを上限とする)及び出張フォローアップに必要な費用が、助成限度額内において助成されます。
    なお、審査において不用な費用、節約可能な経費等と認められた部分については、採択後、減額調整されますので予めご了承ください。

    例:2名の研修生に対し3か月間OJTを行う研修プログラムの場合の内訳
    (1) OJT費用
    2,200USドル(研修生1人当たり)×3か月×2人 = 13,200USドル
    (2) 出張フォローアップ費用             1,800USドル
    合  計      15,000USドル

    4.年間スケジュール

    1. 2014年7月20日   応募締切
    2. 2014年8月下旬   審査結果の通知
      (機関契約合意書の締結後、研修費用の銀行送金)
    3. 2014年10月1日   研修プログラムの開始
      (OJT及びフォローアップの実施期間は2015年5月末まで)
    4. 2015年6月15日   研修実施報告書の国連大学への提出期限

    5.応募資格

    応募資格があるのはホスト研究者のみです。ホスト研究者以外の者(研修を受けたい者等)が応募することはできません(本事業は奨学金制度ではありません。)。
    ホスト研究者、研修生等については以下の条件を満たす者とします。
    (1)ホスト研究者(応募者)

    1. 原則として、CGIAR若しくは国際連合大学傘下の研究機関又は途上国に所在する 農業研究機関・大学等に所属している研究者であること。
    2. 現在、途上国における食料・環境問題の解決に関連する研究を行っており、その研究内容に基づいて研修を行う能力を有すること。
    3. 研修を行う期間を通して当該農業研究機関に滞在すること。ただし、補助講師をつけ、ホスト研究者が不在の間は当該補助講師が当該農業研究機関に滞在する場合は、研修期間の半分以上滞在すればよいものとする。
    4. ホスト研究機関の内諾を得ていること。(ホスト研究機関長による受入の承諾を示すレターを提出すること)
    5. 研修を受ける研修生本人の内諾を得ていること。
    6. 補助講師をつける場合は補助講師の内諾を得ていること。
    7. 英語で申請書及び報告書を作成できること。
    8. 研修生自身の国における食料・環境問題の解決を認識させるとともに、それを改善するための研究活動計画を記したアクションプランの作成指導を行い、OJT終了後、アクションプランに基づいて研修生が技術普及・研究活動に着手したことを確認し、指導できること。

    (2)研修生

    1. 途上国(原則としてDAC援助受取国・地域リストに掲載されている国)の国籍を有すること。ただし、本事業はAPEC、ASEAN及びアフリカ各国に対する貢献としても位置付けられており、それらの国を優先します。加えて、本事業の趣旨からDACリストにおける低い所得の国や地域の者を優先します。
    2. 原則として45 歳未満であること。ただし、40 歳未満の者を優先的に採択します。
    3. 途上国国内に所在する国公立農業研究機関・大学等に所属して、且つ、研修終了後、当該機関等又は同等の機関等に復帰できること。
    4. ホスト研究者と同一の研究室等に所属していない等、直接の師弟関係でないこと。
    5. 大学卒業程度以上の資格を有するか、もしくは、審査委員会により大学を卒業した者と同等の学力があると認められた者であること。
    6. 所属機関の内諾を得ていること。
    7. 同時に他から同じ内容の研修に係る資金の交付を受けていないこと。
    8. ホスト研究者及び補助講師と十分にコミュニケーションできる能力を有すること。
    9. 自国における課題を認識し、OJT終了時までにアクションプランを作成し、その後、速やかにアクションプランに基づいた技術普及・研究活動等を実行する意思があること。

    (3)補助講師
    研修の分野に関連する研究を現に行っていること。また、ホスト研究者の監督の下に、その研究内容に基づいて研修を補助する能力を有すること。ポストドクトラルフェロー等も可能とします。
    また、ホスト研究者と研究協力を行っており、優れた研究業績を有する日本人研究者も補助講師となることができます。

    6.責務

    1. 応募者はホスト研究機関の事務局や補助講師と密に連絡を取り、研修が滞りなく実施されるよう努めること。また、研修期間終了までに研修生に研修後取り組む研究活動計画等を記したアクションプランを作成させること。研修後に研修生のもとへ出張し、アクションプランどおり実行できているかをチェックし、指導すること。
    2. 研修終了後、速やかに指定の書式に従い、報告書を国連大学に提出すること(報告書には、研修結果、会計報告、研修生及びホスト研究機関からの報告も含まれる。)。
    3. ホスト研究機関は適正な資金管理を行うこと。

    7.本事業で支給できるもの

    ①ホスト研究者の下でのOJT及び研修生がOJT後に取り組むアクションプランの作成指導について
    ア.研修生の所属研究機関からホスト研究機関までの往復旅費(格安エコノミークラス)
    イ.研修生のOJT期間中の滞在費
    ウ.研修生に対するOJT期間中の保険加入料
    エ.研修内容に応じた研修研究費用。但し、消耗品以外の原形のまま比較的長期の反復使用に耐え得る器具及び備品(試験又は測定機器、計算機器、撮影機及び顕微鏡等)の購入については、取得価格10万円以内の物品のみとする。
    オ.補助講師に係る経費(人件費及び旅費)
    カ.ホスト研究機関に対するオーバーヘッド
    なお、ホスト研究者については、OJT及びアクションプランの作成指導に必要な旅費・日当以外の給与・手当等は、支給の対象となりません。

    ②OJT後のホスト研究者による出張フォローアップ
    ア.ホスト研究者の出張旅費
    イ.指導に必要な消耗品費
    ウ.通信費
    注1.本事業費の振込は、原則ホスト研究機関の指定口座へ送金するものとします。
    注2.「①のア~ウ及び②」の額はホスト研究機関の支払規定に準じます。
    注3.「①のイ」以外の経費はホスト研究機関の監督下、研修・フォローアップ等を実施するための費用として使用され、「①のイ」は研修生に支給されるものです。

    8.応募方法と締め切り

    応募者は2014年7月20日までに国際連合大学サステイナビリティ高等研究所事務局宛に応募書類(下記の様式1~6、他)をe-mail(応募宛先:ojcb@unu.edu)で送付して下さい。
    なお、様式2~6については英語で記載すること。

    9.審査方法について

    応募書類は、別途設置する経験豊富な数名の委員より構成される審査委員会によって審
    査され、委員会は、本事業に最も適した研修プログラムを採択します。

    10.採択時の評価項目

    (1) 事業目的の理解度
    (2) 研修内容の妥当性

    • ホスト研究者(応募者)によって示された研究計画の適切性
    • ホスト研究者の研究業績との関連性
    • 研修生の研究内容と研修内容の妥当性
    • 研修計画(アクションプランの作成の考え方、フォローアップ計画を含む)の妥当性
    • 予算の妥当性(航空券、滞在費、研究および訓練の資金、間接経費など)
    • 研修成果の持続性・発展性

    (3)APEC、ASEAN及びアフリカ各国における途上国の研修生数
    (4)研修分野の気候変動緩和策若しくは越境性疾病・病害虫対策との関連性

    11.採択プログラム数

    研修プログラム10プログラム(1プログラム当たり研修生2人の場合)を目安とします。
    ただし、内容を審査の上、申請された予算額は査定されることがあり、認定額の多寡に
    より採択プログラム数も調整されます。なお、ホスト研究者は複数プログラムを応募することができますが、採択プログラムは1件に限られます。

    12.研修の実施

    事務局は、審査結果の通知の後、研修開始前にできるだけ早く、採択された各々のホスト研究者が所属するホスト研究機関と機関契約合意書(Institutional Contractual Agreement)を締結します。採択されたホスト研究者は、事務局が、研修費用を銀行振り込みで早急に送金することができるように、事務局に必要な銀行口座情報を通知することとします。
    OJT及びフォローアップの実施期間は2014年10月から2015年5月末までになります。また、2015年6月15日までに研修実施報告書等を事務局に提出してください。

    13.研修結果の報告

    1. 研修生:各々の研修生は英語で研修報告を作成し、ホスト研究者に提出すること。
    2. ホスト研究機関:ホスト研究機関は、研修評価と研修計画の達成報告(研修評価レポート)をホスト研究者に提出すること。
    3. ホスト研究者:ホスト研究者は、研修終了後2015年6月15日までに、1、2とともに、研修成果(研修生のアクションプランを含む)、出張フォローアップ後のアクションプランの実施状況報告書及び会計報告からなる実施報告書を、概要を添付した上で事務局に提出すること。

    14. ワークショップの開催

    研修の進捗状況等を勘案し、優良な者を日本に招聘し、取組の成果について報告や関係する日本国内の研究者等との交流を図るためのワークショップ等を開催します。

    15. 問い合わせ先

    〒150-8925 東京都渋谷区神宮前5-53-70
    国際連合大学サステイナビリティ高等研究所
    TEL:+81-3-5467-1242 FAX:+81-3-3406-7347
    E-mail: ojcb@unu.edu
    URL:http://isp.unu.edu/