国連大学SDG大学連携プラットフォーム(SDG–UP)第22回ワークショップ開催

ニュース
  • 2023年1月20日     オンライン(JST)

    2023年1月17日、SDG大学連携プラットフォーム(SDG–UP)の第22回ワークショップがオンラインで開催され、参加大学20校から約36名が出席しました。今回は、2022年のTimes Higher Education (THE)インパクトランキングで世界第一位となったオーストラリアのウェスタン・シドニー大学 (Western Sydney University、WSU) から、サステイナビリティ教育・パートナーシップ担当のジェン・ドリン ディレクターをお招きしました。

    冒頭の開会挨拶で、SDG-UPのチェアであるUNU-IASの山口しのぶ所長は、ドリン氏の紹介を行うとともに、SDG-UPのワークショップを通して、大学のアイデンティティを超えて協力し合う新しい形の大学間協力が進展してきていることを評価しました。また2023年秋より、パリ協定を国内外で実施していくために必要な能力を養う専攻コースをUNU-IASの大学院課程に新設することを紹介しました。

    続いてWSUのジェン・ドリン氏による講演が行われ、同大学の多岐にわたるサステイナビリティへの取り組みが紹介されました。WSUは、シドニー北西部のメインキャンパスを中心として合計11のキャンパスを展開し、総学生数47,971人を抱える大規模な総合公立大学です。創立以来、アボリジニをはじめとする先住民の文化と伝統に敬意を表し、西シドニー地域特有の生物多様性を大切に守りながら、サステイナビリティ研究とその教育を行ってきました。

    2022年のTHEインパクトランキングで世界第1位となりましたが、それは資金と時間を投じて、組織横断的に人員を配備して協力を得られるよう整備をしてきたことと、大学の経営陣によるボトムダウン、また教職員からのボトムアップの協力という、両方向からのリーダーシップがあったからだと説明しました。そして、高等教育におけるサステイナビリティを進めるためにはリーダーシップが大変重要であり、ランキングにおいても成功の鍵となる、と強調しました。

    WSUは戦略計画の第一位の原則に「サステイナビリティ」をあげており、強固な財務体質を持つ必要を認識しつつ、SDGsを推進する教育と研究を優先させてきました。また、教育を通じてサステイナビリティの理論と具体的な課題を結びつけることが地域社会の人々の生活を向上させる新しい機会につながるとして、きめ細かなサステイナビリティ教育を行っています。その中で「21世紀カリキュラムイニシアチブ」を進めており、多岐にわたる授業によって不確実性の高い未来に適応できるサステイナビリティ・リテラシーを身につけた学生の育成を図っていると述べました。

    ドリン氏は、大学の経営陣とリーダーシップに関しては、交代すべき時に交代することが非常に大切であり、変革というものは偶然に起こるものではなくリーダーが導くものである、と強調して講演を終えました。

    その後、質疑応答とグループ討論を経て、SDG-UPアドバイザーである関西学院大学の村田俊一教授による総括が行われました。村田教授は、WSUのドリン氏は教員ではなく職員として、大きな責任と権限を持ち、大学のサステイナビリティ活動のリーダーとして教員および学生の実働部隊をけん引していると指摘しました。そして日本でも、もっと職員のイニシアティブを発揮できるような行動変容が顕著になっていくことが望ましいと述べました。また、SDGsへの関心が高い今の高校生は、自らの方向性に合わない大学は選択しない傾向にあると指摘し、大学関係者はそのことに危機感を持つ必要があると話しました。今後はさらにマネジメント層が教職員と学生の三者間関係を円滑に進めていく方法論を熟考することが本年の課題になるだろう、と述べてワークショップを締めくくりました。

    このワークショップの詳細なレポートは、こちらをご覧ください。

    参加大学

    千葉商科大学、広島大学、北海道大学、国際基督教大学、神奈川大学、金沢大学、国際大学、慶應義塾大学、関西学院大学、ノートルダム清心女子大学、岡山大学、お茶の水女子大学、沖縄科学技術大学院大学、大阪医科薬科大学、大阪公立大学、龍谷大学、上智大学、北九州市立大学、昭和音楽大学、東京工業大学

    全20校(アルファベット順)