2023年11月30日 オンライン
2023年11月15日、SDG大学連携プラットフォーム(SDG–UP)の第29回ワークショップがオンラインで開催されました。参加大学19校から39名が出席しました。今回は、海外大学の取り組みとして、ブリュッセル自由大学(ULB)の シャーリーン・アーバイン教授、 アン・ウェインバーグ教授に講演いただきました。
シャーリーン・アーバイン教授はULBのサステイナビリティに関する取り組みの概要、アン・ウェインバーグ教授は国際協力の観点から考えるULBのグローバルアプローチについてお話ししました。「Towards a systemic approach of sustainability」と題したアーバイン教授の講演では、ULBの教育に関しての戦略目標について、卒業生がサステイナビリティに関する理解とシステム思考能力を備えるために、横断的かつ学際的なアプローチを通じてサステイナビリティに関する教育を強化することにあると紹介しました。また、サステイナビリティの課題に特化した多岐にわたるコースについても説明しました。さらに、2年毎に作成しているサステイナビリティ・レポートや、学生によって作成されたウェブサイト「プリズム(Prism)」を通じて発信の強化に取り組んでいると述べました。
「International relations and cooperation at ULB in the light of sustainability: opportunities and challenges」と題するウェインバーグ教授の講演では、ULBにおける国際関係や国際協力の展開と課題をサステイナビリティの観点から紹介しました。ウェインバーグ教授は、ULBが行っている持続可能開発目標(SDGs)に関する取り組みは、ULBのパートナーとの協力を発展させ、大学の国際化を強化する機会であると述べました。その上で、ULBが加盟している国際的なネットワークについて説明しました。また、国際化を追求し協力関係を深化させたい反面、飛行機による出張や会議、滞在が多くなることは持続可能性に反することから、必要のない旅をなくすため持続可能な「出張規程」を作成していることも紹介しました。今後も国際的なパートナーとともにSDGsに関わるより良い取り組みを推進し達成するため、活発な意見交換を行い高い目標を持って活動していきたいと強調し講演を終えました。その後、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)勝間靖アカデミック・プログラム・アドバイザーをモデレーターに、両教授への質疑応答が行われました。
第2部の参加大学によるグループ討論では参加者が4グループに分かれ、ULBから学ぶべきことおよびサステイナビリティ分野におけるシステム的なアプローチ(Systemic approach) について活発なディスカッションが行われました。
総括として、関西学院大学村田俊一教授(SDG-UPアドバイザー)は、今までにSDG-UPのワークショップでヨーロッパの大学からの講演機会がなかったが、ヨーロッパの大学に根付くクロスボーダーの考え方が興味深かったとコメントしました、また、国外の大学同士での単位の互換関係や植民地主義への反省を背景にアフリカの大学へコミットメントしている例も印象的であったと述べました。さらに、大学の運営についてはスピーカーの2人の女性副学長がチェンジ・エージェントとして、学長、学部長を巻き込んでトップダウンによるシステミックアプローチを推進している一方、ボトムアップのアプローチも尊重するというバランスが日本の大学とも重なる点であると指摘しました。SDG-UPの取り組みもULBのアプローチに通ずるものがあり、今後メンバー大学同士の単位の互換や、学生の活発な交流など様々な課題に取り組んでいきたいと強調しワークショップを締めくくりました。
本ワークショップの詳細なレポートは、こちらをご覧ください。
愛媛大学、広島大学、北海道大学、国際基督教大学、慶應義塾大学、関西学院大学、岡山大学、大阪大学、大阪医科薬科大学、大阪公立大学、龍谷大学、昭和音楽大学、上智大学、創価大学、東京都市大学、東京工業大学、東洋大学、東京大学、筑波大学
全19校(アルファベット順)