映画を通じて、サンゴ礁の保全を考える

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  • 2019年8月26日     東京

    UNU-IASは、7月23日(火)GEOCとともに「SDGsへの挑戦 ~サンゴ礁の現状と保全の取り組み~市民上映会『チェイシング・コーラル ー消えゆくサンゴ礁ー』から考える」を開催しました。

    開会挨拶で登壇した渡辺綱男UNU-IASシニア・プログラム・コーディネーターは、サンゴ礁の危機的状況は気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書や、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)が発表した報告書でも警告されていることについて言及しました。

    続いて、イヴォーン・ユーUNU-IASリサーチ・フェローが、食糧の供給から、防災、経済効果まで様々な恵みをもたらすサンゴ礁について、インフォグラフィック(情報を素早く視覚的に表現する手法)を交えながら紹介し、日本の海でもサンゴの白化・死滅が起きている現状を報告しました。

    上映後は、環境省自然環境局自然環境計画課保全再生調整官の岡野隆宏氏を交え、GEOC星野智子氏がファシリテーターを務めるトークセッションが行われました。岡野氏は、サンゴ礁は世界で一番危機に瀕している生態系であると述べ、保全には1人1人の行動や暮らしの変革が必要であると話しました。ユー氏は、海外で始まっている日焼け止めの成分の規制やプラスチックごみ削減への対策を紹介し、日本でも対策を進めるためには、1人1人が声を上げてゆくことが大事だと述べました。参加者からは、学校などで身近な問題から研究することが社会の関心が深まるきっかけになるといった意見や、自分にできる精一杯のことをやってゆきたいといった感想が共有されました。

    最後に星野氏は、サンゴ礁の問題のように複合的な要因がからむ課題の解決には、多様な主体がパートナーシップを組んで取り組むことが重要であることを強調し、セミナーを締めくくりました。