熱帯地域における森林景観再生の促進

, ,

ニュース
  • 2023年11月17日

    森林景観再生(FLR) は劣化した森林景観を再生し、人間のウェルビーイングを向上させる総合的なアプローチを意味します。本報告書『熱帯地域における森林景観再生の促進』(英題:Advancing Forest Landscape Restoration in the Tropics)では熱帯地域における森林景観再生の進展の概要や、国際熱帯木材機関(ITTO)が支援した14のFLRプロジェクトの分析が記載されています。また、本報告書ではFLRを実施するにあたっての課題や、プロジェクト活動におけるジェンダーの観点の考慮についても取り上げています。

    報告書では全ての林業に関連する実施政策へのFLRの原則の組み込みに加え、ピア・ラーニング(仲間同士で学び合う学習のこと)やソーシャルラーニングツールなど革新的な方法を通じた能力開発プログラムの促進を推奨しています。また、ジェンダーに配慮した計画など公平な原則を政策計画やプログラムに組み込む必要性も強調しています。

    本書はITTOから支援を受け、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)スニータ・スブラマニアン研究員が共同でプロジェクトの分析を行いました。

    提言

    • 学際的な研究と実践の推進:解決策に焦点を当てた研究と透明性の高い分析のために、多様なステイクホルダーと協力し、効果的な成果を上げる。
    • マルチステークホルダーによる社会生態学的レジリエンスに関する議論の奨励:相互に連関する社会的・生態学的問題に体系的に取り組み、対処および適応戦略を強化するためのトレードオフを特定する。
    • 全ての林業関連政策にFLRの原則を組み込む: 社会生態学的レジリエンスを高めるために参加型FLRの原則を活用し、保護区以外の保全目標とも足並みを揃える。
    • 能力開発プログラムの設計と実施:政策立案者、NGOおよび学術界を巻き込み、社会生態学的システムのダイナミックな性質を重視した包括的な森林研修プログラムを実施する。
    • 公平な原則を政策計画やプログラムに組み込む:参加型プランニングを通じて公平な原則とジェンダーに配慮した政策を統合し、プロジェクト活動への受け入れと効果的なプロジェクトの実施に向けた報告を行う。