持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラム(APFSD 2019)でサイドイベント開催

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  • 2019年4月1日     バンコク

    2019年3月27日UNU-IASは、UNESCOバンコク事務所及び環境省との共催により、第6回持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラム2019 (APFSD2019)においてサイドイベントを開催しました。このイベントは、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための高等教育をテーマにしたもので、アジア環境大学院ネットワーク(ProSPER.Net)の共同プロジェクト「SDGsを地域で実施するための枠組みの構築」の成果を共有する狙いで開催されました。ProSPER.Netは、UNU-IASの持続可能な開発のための教育(ESD)プロジェクトが事務局を務め、大学院の教育やカリキュラムにサステイナビリティ(持続可能性)を組み込むことを目指す、アジア太平洋地域の高等教育機関のネットワークです。

    サイドイベントは、青柳茂 UNESCOバンコク事務所長と杉本留三 環境省地球環境局国際協力・環境インフラ戦略室長の開会挨拶により開始されました。マリオ・タブカノンUNU-IAS上級客員教授は、基調講演において、ESDの重要性を強調するとともに、高等教育がSDGsの目標間のつながりについて理解を促す役割を有すると述べました。

    パネルディスカッションでは、竹本和彦 UNU-IAS所長がモデレーターを務め、ProSPER.NetメンバーによるSDGsの地域での実施に関する4つのケーススタディが発表されました。エネルギー資源研究所(TERI)大学校のスムリティ・ダス氏は、インド・デリーでのSDGsの実施に関して健康・水・衛生・廃棄物処理についての所見を報告しました。

    慶応義塾大学の高木超氏は、兵庫県豊岡市での調査結果を基に、SDGsを実施する上で参加型のアプローチが地域住民の主体者意識を形成することを強調しました。フィリピン大学ディリマン校のネスタ・カストロ氏は、フィリピン・ケソン市の調査結果に基づき、自治体職員の異動がSDGsを地域で実施する上での障害になっていることを指摘しました。

    チュラロンコン大学のサヤモン・チャロエンランタナ氏は、タイ・ナーン県ムアン地区での調査により、地域でSDGsを実施する上での重要な要素として、啓発活動、積極的な主張、実施及びモニタリングを挙げました。

    UNESCOバンコク事務所の三浦うしほ氏は、討議者として、4つのケーススタディがSDGsに関する学び合いのプロセスを例示しており、こうしたプロセスがコミュニティにおいて共通理解を促すことを指摘しました。イベントの聴衆を交えた議論では、SDGsを地域の言語に変換することやイニシアティブを組織化することの重要性が認識されました。今回のサイドイベントでの議論や提言は、ProSPER.Netの共同プロジェクトの次のフェーズに反映されることになります。