2022年ProSPER.Net リーダーシップ・プログラムにてネット・ゼロへの転換戦略を探究

, ,

ニュース
  • 2023年1月23日     オンライン


    2022年12月5日~8日および16日に開催された2022年ProSPER.Netリーダーシップ・プログラムにおいて、21名の参加者が脱炭素経済の実現に向けた戦略について学びました。本オンライン・セッションには、学術界、公共部門、ビジネス界、市民団体などからの若手専門家や新進リーダーが参加し、ネット・ゼロへの転換に必要な気候変動問題に関するリーダーシップのスキルを身につけました。本プログラムは、環境省と韓国環境公団の支援のもと、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)が主催しました。

    開会の挨拶で、UNU-IASの山口しのぶ所長は、気候変動に関するパリ協定を実施するためには相乗効果を強化することが重要であると強調しました。また、UNU-IASが、教育や能力構築を通じて未来のリーダーを育成することに尽力していると述べました。韓国環境公団国際協力部のイ スンフン国際協力課長は、ネット・ゼロ達成に向けた若者の役割を強調し、批判的に考える力を持った変革者、革新者、コミュニケーターである若者の能力に期待を寄せました。

    UNU-IASのジェローム・シラ リサーチ・アソシエイトは、本プログラムが持続可能な解決策を見出すために必要なリーダーシップ研修および実践的な応用スキルに持続可能性を組み込むことに重点を置いていると説明しました。また、プログラムのテーマである、成果重視型プロジェクト・マネジメント、ネット・ゼロのガバナンス、エネルギー効率と都市の持続可能性、ネット・ゼロに向けた自然を基盤としたアプローチ、について概説しました。

    ブータン王国森林公園サービス局自然保護課のソナム・ワングディ氏の基調講演では、環境保全がブータンの国民総幸福量(GNH)指数の4つの柱のうちの1つであることが強調されました。ブータンでは、国土の60%を森林にすることが憲法で定められており、この目標がすでに達成されているのに加えて、同国の自然保護への取り組みには自然に対する畏敬の念が大きな役割を担っています。

    UNU-IASのパク ジョン客員研究員とUNU-IASの研究員でもあるシェングル・リ リサーチ・アソシエイトが進行役を務めたリーダーシップ・セッションでは、持続可能な開発のためのリーダーシップ理論と持続可能な開発のための能力を育む教育が紹介されました。

    一連の講義では、ステークホルダー特定という概念を紹介し、ステークホルダー参画の利点、参画アプローチ、ステークホルダーの協働モデルについて概説しつつ、実施戦略を模索しました。UNU-IASのジョンウィー・パク プログラム・ヘッドの講義では、成果重視型マネジメント(RBM)を用いたプロジェクト管理の原則と手法が紹介されました。

    2日目には、韓国グリーン・テクノロジーセンター気候技術協力部のカン ハナ博士研究員が、ステークホルダーの参画活動を含む、韓国におけるネット・ゼロのガバナンスおよび関連の取り組みについて発表しました。韓国グリーン・テクノロジーセンター気候技術協力部のリュウォン・ヤン 主任研究員 は、カーボン・ニュートラルとグリーン成長に関する枠組み法など、カーボン・ニュートラル社会の実現に向けた韓国の取り組みについて発表しました。韓国国際経済政策研究院国際開発協力センターのジヘイ・ソン 上席研究員は、韓国のネットゼロ政策を焦点として政策の立案、実施、見直しについて言及しました。

    3日目は、東京大学の藤田剛教授の講演で始まり、カーボン・ニュートラルへの橋渡しとしてのエネルギー効率、都市の課題、持続可能な都市計画のための定量化モデルに焦点が当てられました。東京工業大学の高橋文武准教授は、廃棄物の分別に関する心理学的アプローチなど、廃棄物管理におけるエネルギー効率について議論しました。UNU-IASのフィリップ・ヴォーター コンサルタントは、持続可能な都市設計の原則、都市における区分けと「第3の空間」の影響、都市環境中のネット・ゼロへの解決策におけるそれらの役割について説明しました。慶應義塾大学のホルヘ・アルマザン准教授は、東京とその都市開発および変容に焦点を当て、「Corporate Tokyo(企業的な東京)」と「Emergent Tokyo(創発的な東京)」の区別に言及しました。

    プログラム最終日は、フィリップ・ヴォーター コンサルタントが自然を基盤とした解決策についての発表を行いました。オサ保全のロドリゴ・デ・スーザ プロジェクトマネージャーは、コスタリカの農業景観の回復に取り組む「Ridge to Reef」プロジェクトに焦点を当て、森林再生と持続可能な土地利用について説明しました。

    プログラムの締めくくりとして、都市やコミュニティで取り入れられるようなネット・ゼロへの転換戦略に焦点を当てたグループ発表が行われました。

    本プログラムの更なる詳細とその成果については、ProSPER.Netのウェブサイトをご覧ください。