シンポジウム「生物多様性と食と健康~SDGsを身近に~」を開催

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  • 2019年5月21日     東京

    Photo: 環境省


    UNU-IASは、5月11日、環境省、GEOCとともに、国連が定めた国際生物多様性の日(毎年5月22日)を記念して、シンポジウム「生物多様性と食と健康~SDGsを身近に~」を開催しました。主催者挨拶で登壇した城内実環境副大臣は、G7環境大臣会合で採択された生物多様性憲章に生物多様性の損失を止めるための対策が盛り込まれたことを紹介しました。

    続いて、クリスティアナ・パスカ・パルマ―生物多様性条約事務局長がビデオメッセージで、食料を育て、加工し、輸送し、消費し、廃棄するという一連の方法が、生物多様性への最大の脅威のひとつになっていると指摘し、解決に向けた分野横断的な取り組みを加速し、共に行動しようと呼びかけました。

    基調講演では、武内和彦UNU-IAS上級客員教授が登壇し、他国の資源への依存度が高い日本の食生活の問題を指摘し、こういった食生活を見直すことが自給率の向上、安全な食の供給、人々の健康の維持につながってゆくと解説しました。また、愛知目標を引き継ぐ次の世界目標について、SDGsとの整合性や地域性の考慮、農林水産、食、健康の確保と生態系の豊かさの確保を両立することが重要な議題の1つになるとし、日本からの積極的な情報発信の必要性を強調しました。また、UNU-IASと環境省が推進するSATOYAMAイニシアティブの取り組みを紹介しました。

    続いて行われた基調報告では、フリーアナウンサーの小谷あゆみ氏、宮城県漁業共同組合志津川支所戸倉出張所カキ部会長の後藤清広氏が登壇しました。小谷氏は、生産者と消費者が支え合う「友産友消」の考え方や、佐渡や阿蘇の世界農業遺産(GIAHS)の取り組みを紹介し、多様な主体が参加し食を支えてゆくことの重要性を強調しました。後藤氏は、震災前、過密状態で生産していた牡蠣の養殖方法を震災後はゆとりを持った養殖方法に転換し、日本で初めてASC認証を取得した「南三陸戸倉っこかき」の生産に至るまでの道のりを話し、環境に負荷をかけない方法は、長い目で見れば経済や生活の質を向上させるものであり、持続可能な漁業の取り組みを継続してゆきたいと述べました。

    後半は、イヴォーン・ユーUNU-IASリサーチフェロー、鈴木隆博イオン株式会社グループ環境・社会貢献部部長代行、鳥居敏男環境省大臣官房審議官も加わりパネルディスカッションが行われました。セッション冒頭、それぞれの登壇者から発表があり、ユーUNU-IASリサーチフェローからは、食料と農業と生物多様性の現状が報告されました。パネルディスカッションでは、買い物を投資行動と考えること、サプライチェーン全体で考えること、情報開示を進めてゆくこと、次世代の教育の重要性などが指摘されました。総括コメントでは、中井徳太郎環境省総合環境政策統括官が、生物多様性と食と健康の取り組みをつなげ、広げてゆくことが重要であると述べました。

    閉会挨拶では、渡辺綱男UNU-IASシニアプログラムコーディネーターが、それぞれの地域の特色を活かした取り組みが全国各地で進むことで、より良い地域づくりと生物多様性保全の双方の取り組みが深まってゆくことに期待すると述べ、シンポジウムを締めくくりました。