2022年12月23日 モントリオール
2022年12月8日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、モントリオールで開催された国連生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP 15)の一環として、「保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECMs)」に焦点を当てたイベントを共催しました。本イベントでは、人間の生産活動地域を含むOECMsの特定・管理・効果性に影響を与える財政的・経済的要因について検討しました。また、コンサベーション・インターナショナル(CI)とUNU-IASが実施してきたプロジェクトの一環として、これまで生物多様性条約(CBD)会合で進めてきた、OECMs と社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)に関する議論を進展させました。本イベントは、ネイチャー・ポジティブ・パビリオンにてCIとのパートナーシップのもと開催されました。
冒頭で、CIのウィリアム・ダンバー プロジェクト・マネジャーは、持続可能な人間と自然の関係を通じて生物多様性に恩恵をもたらす文化を認識し、支援すること呼びかける新しいUNU-IASポリシー・ブリーフを紹介しました。本ポリシーブリーフは、SEPLSに関する経験をもとに、包摂的で公平、かつ伝統的知識を取り入れた、持続可能な土地利用管理政策への提言をまとめています。国連貿易開発会議(UNCTAD)のロレーナ・ハラミロ・カストロ 経済業務オフィサーは、持続可能な貿易と投資を促進し、ガイドライン策定にあたって地域の文脈を反映するバイオトレードイニシアティブの事例研究を紹介しました。国連開発計画(UNDP)地域環境ファシリティ小規模無償プログラム(GEF-SGP)のテレンス・ヘイ・エディ 生物多様性のためのプログラム・アドバイザーは、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップの一環として、OECMsとしてのSEPLSの可能性を検討するCOMDEKSプロジェクトの活動を紹介しました。
UNU-IASのスニータ・サブラマニアン研究員は、保全活動および持続可能な資源利用を可能にするような貿易と経済的インセンティブの役割に関するパネルディスカッションの司会を務めました。国際自然保護連盟(IUCN)保護地域に関する世界委員会のキャシー・マッキノン議長は、税制優遇措置や炭素クレジットなど、持続可能な金融のための活用可能なオプションを動員し、それらをOECM地域に柔軟に統合することの必要性を強調しました。インド国家生物多様性庁のジャスティン・モハン事務局長は、規制のために地域社会がOECMへの分類を避けようとする可能性を鑑み、インドではOECMsとして登録された地域は、地域組織の管轄と管理下に置かれたままになるだろうと述べました。登壇者たちは、生態系の回復と地域経済、持続可能な資源管理に関する伝統的な知恵との間に相乗効果を生み出すことが、民間企業や地域社会にとって生物多様性保全のための取り組みに投資することへのインセンティブになることを強調しました。