COP15:サイドイベントで生物多様性ガバナンスへの全社会的アプローチを推進

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  • 2022年12月22日     モントリオール


    2022年12月8日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、モントリオールで開催された国連生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP 15)にてサイドイベントを共催し、社会変革を実現するために不可欠な、生物多様性ガバナンスへの全社会的アプローチについて議論しました。本イベントでは、グローバルな生物多様性目標を達成するための代替戦略を分析したオランダ環境評価庁 (PBL) の新しい報告書 『ネイチャー・ポジティブへの道筋の探求(英題:Exploring Nature-Positive Pathways)』にまとめられた知見が紹介されました。

    本報告書は、自然や生物多様性に与えたダメージを回復させるには、従来通りのやり方でも漸進的な変化でも十分ではないと結論づけています。ネイチャー・ポジティブな発展は、生物多様性の喪失の根本的な原因であり、かつ開発を推進するような、根底的な社会的要因に対処する社会変革を通じてのみ達成することができます。全社会的アプローチは、非国家主体(先住民や地域社会、NGO、民間企業など)から政府のあらゆるレベルまで、社会全体のあらゆる人々の力を結集させ、認識させます。

    UNU-IASのスニータ・サブラマニアンリサーチフェローは、社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)に関するケーススタディを掲載した、UNU-IASとSATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI) による年次刊行物である『SATOYAMA イニシアティブ主題レビュー』について発表しました。それらの事例研究は、地域の生物多様性を保全し持続可能な形で利用するために、いかに多様なステークホルダーらが協力しているかを示しています。サブラマニアン研究員は、政策にネイチャー・ポジティブなアプローチを主流化させつつ地域の取り組みの推進者や共同パートナーとなることができるため、中央政府よりも地方政府の方が社会変革の担い手としてより優位であると指摘しました。

    登壇者たちは、ポスト2020生物多様性枠組 (GBF) を効果的に実施するために、COP 15とその後に何を達成すべきかを考慮し、モニタリング・報告・レビューの透明性を呼び掛けました。また、社会変革は公平性と社会正義の確保に依拠しており、したがって、先住民と地域社会の報告プロセスへの参画を保証するメカニズムの構築が重要であると強調しました。

    本イベントは、PBL、イクレイ-持続可能な都市と地域をめざす自治体協議会(ICLEI)、資本連合、UNU-IASが事務局を務めるIPSI、持続可能な開発と国際関係研究所(IDDRI)との共催で行われました。