COP28:パリ協定の実施能力強化に向けた道筋を議論

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  • 2023年12月18日     ドバイ

    Photo: UNU-IAS

    2023年12月6日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)はアラブ首長国連邦、ドバイで開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(UNFCCC COP28)のジャパン・パビリオンにて「パリ協定実施に向けた能力開発」をテーマとしたサイドイベントを開催しました。専門家やユースを招き、教育と訓練を通してパリ協定の実施を加速させるための課題と可能性について議論しました。

    開会挨拶でUNU-IAS山口しのぶ所長は、パリ協定下での様々な要求事項を開発途上国が対応する上でキャパシティギャップが課題であることを指摘しました。その上でUNU-IASが2023年9月より提供している大学院プログラムパリ協定特修コースにおいて、パリ協定の実施に向けた専門知識と技術を養成していることを紹介しました。今後本コースをUNUの学生以外へも間口を広げることでコースをスケールアップし、世界中で必要とされている気候分野の専門家を育成していくことを強調しました。

    UNU-IAS竹本明生プログラムヘッドは、パリ協定特修コースにおいてカリキュラム開発中の実務トレーニングについて説明しました。温室効果ガス排出量の測定、報告および検証(MRV)、炭素市場、気候適応および損失と損害など複数のコースを国連大学のパートナーと連携して順次開設していくとともに、本コースの受講者の幅を広げることによりパリ協定6条実施パートナーシップなどパリ協定に関する国際イニシアティブに貢献していくと述べました。

    竹本明生プログラムヘッドがモデレーターを務めたパネルディスカッションでは、組織の能力開発における課題や効果的なツール、連携の可能性について議論が行われました。Huy Luong Quang(Head, Division of GHG Emission Reduction and Ozone Layer Protection, Department of Climate Change, Ministry of Natural Resources and Environment, Viet Nam)は、ベトナムでは次世代の専門家を育成するための気候変動に特化した教育が必要であり、また指導者が気候変動に関する内容をそれぞれの教育活動に組み込めるよう訓練するプログラムも必要であると述べました。

    UNU-IAS 修士課程1年生パリ協定特修コースを専攻のKitzia Irina Oribe Aguilar は政策立案において気候変動分野の専門性を有することの重要性を強調し、各省庁が協調して各業務と気候変動を繋げる知識の強化に注力する必要性あることを強調しました。

    森田隆博 国際協力機構(JICA)地球環境部部長は、JICAがパートナー国のパリ協定実施のために短、長期的に実施してきた取り組みについて説明しました。効果的な活動の共創には多様なステークホルダー間のパートナーシップが重要であり、UNU-IASが有する気候とSDGのシナジーに関する知見を統合することでさらにパートナーシップを強靭なものとすることができるのではないかと述べました。

    閉会挨拶で環境省松澤裕地球環境審議官は、UNU-IASの気候変動分野の能力開発の活動に対して環境省が支援を行っていることを共有した上で、パリ協定特修コースに関する新たな取組みを歓迎すると話しました。また、開発途上国の気候変動とSDGsに関する優先課題を統合する取組みを加速させるために、UNU-IASの活動は重要であると述べました。