国連大学SDG大学連携プラットフォーム(SDG–UP)第8回ワークショップ開催

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ニュース
  • 2021年6月19日

    2021年6月18日、SDG大学連携プラットフォーム(SDG–UP)の第8回ワークショップがオンラインで開催され、参加大学25校から62名が出席しました。今回は、2021年インパクトランキングにおいて、日本からの参加85校中総合順位が一位タイであった広島大学のSDGsの取り組みを、統括担当である金子慎治理事・副学長(以下、金子理事)に講演していただきました。

    広島大学は、長年にわたり平和研究・教育にとり組むと同時に、近年ではSDGsへの貢献を全学的な重要課題と位置付けています。現在は、大学改革、国際化、教育、研究、地方創生といった5つの分野が、相互に関係し合いながら発展し多様な取り組みを進めています。2017年には長期ビジョン「SPLENDOR(Sustainable Peace Leader Enhancement by Nurturing Development of Research)Plan 2017」を策定、2018年には「広島大学FE(Future Earth)・SDGsネットワーク拠点(Network for Education and Research on Peace and Sustainability: NERPS)」を設置し、「 目標4. 質の高い教育をみんなに」と「目標16. 平和と公正をすべての人に」への取り組みを中心に、他の目標に関する活動にも高い意識を持って取り組んでいます。

    重要な国際活動としては、アリゾナ州立大学(Arizona State University : ASU) との連携が挙げられます。広島大学執行部は、ASUの画期的な大学経営モデル「アカデミック・エンタープライズモデル」について綿密な調査を行い、実際に現地を訪れることで、広島大学のグローバル化と地域創生の展開につなげる良いきっかけとなったと述べました。また、ASUとテンピ市の、タウン(街)とガウン(学生や教員)が一体となって地域におけるSDGs達成に向けた課題解決を目指していることに倣い、広島大学と東広島市が連携して、2021年4月にタウンガウンオフィス設置準備室を置きました。2021年からは、広島大学と東広島市に住友商事株式会社が加わり、協定を締結。これに基づき、広島大学は2030年までに学内のエネルギーに関わる温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることおよびスマートキャンパスの実現を目指しています。

    金子理事は、世界の有力大学や地元自治体、企業と連携しSDGs 達成に向けて地道な取り組みを継続すること、国際的な発信していくことが重要であると指摘し、今後も持続可能な未来都市づくりのために積極的に取り組んでいきたいと強調しました。

    その後、SDG大学連携プラットフォームのチェアである山口しのぶUNU-IAS所長をモデレーターとして、質疑応答が行われ、学生の行動変容を促すための仕組みとして、企業・自治体と連携したワークショップの開催や、行政サービスの大規模展開などの事例が紹介され、今後の学生の意識付けや行動変容への期待が述べられました。

    第2部の参加大学によるグループ討論では、「大学評価の大学経営への活用」をテーマに8つのグループにて論議が行われ、ランキング参加のメリットと課題について以下のような意見が出ました。

    • メリット:ランキングに参加することで、大学の一体感や総合力を高め、経営力の強化につながる。また、学生の自発的な取り組みを促進し、それが結果的に大学の評価や組織的な体制および支援の構築につながる
    • 課題:ランキングには、大学間連携、産官学の連携、地域連携など、コンソーシアム的な取り組みも評価されるべき。また、大学全体としてSDGsへの認知度が低いと一致団結は難しい。SDGsをキーワードとして学部横断の協働を推進し、長期的な視野で大学が目指すべきビジョンを構築した上で、ランキングを有効活用することが重要。

    総括として、村田俊一関西学院大学総合政策部教授(SDG-UPアドバイザー)は、広島大学の特色と強みは、平和の理念であるSDGs目標16に焦点をあてたSplendor Plan 2017を大学のビジョンとして強調していること、そして、広島大学の「アカデミックエンタープライズが駆動するサステナブル・ユニバーシティタウン構想」において東広島市と住友商事が共同参画し、魅力的な街づくりが進んでいることであると指摘しました。また、大学の評価はランキング自体が全てではなく、その結果を今後の大学の改革や組織化に活かすことが本日の議論のコンセンサスであることを指摘しました。各大学の特徴や強みにSDGsを積極的に組み入れ、多様な社会貢献に関わることができる学生を数多く輩出することが我々の使命であると強調し、ワークショップを締めくくりました。

     

    このワークショップの詳細なレポートは、こちらをご覧ください。

    参加大学

    愛媛大学、広島大学、北海道大学、国際基督教大学、国際大学、神奈川大学、金沢大学、慶應義塾大学、関西学院大学、北九州市立大学、九州大学、九州産業大学、ノートルダム清心女子大学、大阪大学、大阪医科薬科大学、龍谷大学、創価大学、上智大学、東海大学、東京都市大学、東京外語大学、東京工業大学、東京理科大学、筑波大学、東京大学

    全25校(アルファベット順)