ユースの声をグローバルな生物多様性の行動へ繋げる

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  • 2024年11月1日     カリ

    Photo: Mei Maruyama / UNU-IAS

    2024年10月30日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、2024年国連生物多様性会議(CBD COP16)において、昆明・モントリオール生物多様性枠組みへのユースの意味ある参画の促進をテーマとするサイドイベントを開催しました。本イベントには、生物多様性グローバルユースネットワーク(GYBN)とUNU-IASとイオン環境財団の共同の人材育成プログラムであるGlobal Youth MIDORI platform(GYM)からユースの代表が参加しました。

    イオン環境財団吉永園環境人材育成Gリーダーが、開会挨拶を行いました。同財団が日本で初めて地球環境をテーマにした企業単独の財団法人として、植樹やユースを対象とした環境教育プログラムなどの活動を継続的に行っていることを紹介しました。

    最初のパネルセッションは、UNU-IAS修了生でもあるゴメス ラミレス サンドラ ロレーナコンサルタントがモデレーターを務めました。パネリストは、グローバルの意思決定プロセスへユースが参画するためのアイデアや自身の経験を紹介しました。国際教養大学国際教養学部グローバル・スタディズ領域の学生でGYMスピーチコンテスト最優秀賞受賞者の伊藤志帆氏は、国際会議における通訳サービスが特定の言語に限定されていることが多いことを指摘しました。また、ユースは意味ある議論に参加するには未熟であるとレッテルを貼られることも課題であると強調しました。

    東京大学大学院農学生命科学研究科学生でGYMスピーチコンテスト優秀賞受賞者の石黒平氏は、生物多様性保全活動に携わるユース同士が繋がるための最初の機会を見つけることの難しさを指摘しました。その上で、GYMプログラムを通じたCOP16への参加などが、グローバルのユース同士のつながりを築くことに役立つと強調しました。

    生物多様性グローバルユースネットワーク(GYBN)アフリカKevin Lunzalu地域コーディネーターは、アフリカのユースが生物多様性問題への政府の取り組みにアクセスできないことや、複雑な財務システムのためにユースが主導するプロジェクトを拡大することが困難であることなど課題を挙げました。また、環境条約間の断絶やユースネットワークのサイロ化(組織や情報が孤立していること)について指摘し、グローバルにおけるより強力な協力を求めました。

    続いてのパネルディスカッション2は、UNU-IAS竹本明生プログラムヘッドがモデレーターを務めました。政府やNGOの専門家が、ユースより提起された課題に対処するための取り組みや解決策について議論しました。Caren Johana Ardila Gómez氏(コロンビア政府環境・持続的発展省 Youth and Children Liaison for Colombia’s 2030 NBSAP Update)は、生物多様性国家戦略及び行動計画(NBSAPs)を通じたユースの意味ある参画に向けたコロンビア政府の取り組みについて共有しました。

    生物多様性グローバルユースネットワーク(GYBN)Christian Schwarzer氏は、CBD COPにおけるユースの意味ある参画を支援するメカニズムとしてのGYBNを紹介した上で、ユースのエンパワーメント活動における資金、システムおよび持続可能性に関する障壁について共有しました。その上で、民間セクターを含むマルチステークホルダーとのパートナーシップを強化するよう求めました。

    Youth Negotiators Academy 共同設立者であるMarie-Claire Graf氏は、社会全体のアプローチについて取り上げ、ユースが多国間システムの変革に積極的に貢献できると強調しました。

    コロンビア政府環境・持続的発展省 International Affairs and Climate ChangeAngela Patricia Rivera Galvis Advisorは、ユースの参画に向けた課題はあるものの、国家政策レベルでシナジー(相乗)効果を高めていくことの重要性を強調しました。

    質疑応答では先住民族のユースから、グローバルにおける政策決定プロセスへの意味ある参画を可能にするために特別な支援を求める声が多数挙がりました。

    本イベントは、UNU-IAS、イオン環境財団および生物多様性グローバルユースネットワーク(GYBN)の共催で実施されました。