専門家がアジアの水と経済の関連性について協議

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  • 2021年1月7日

    2020年12月18日、UNU-IAS「持続可能な可能な開発のための水」プロジェクトが、ネパール国ポカラ大学工学部との協力で国際ウエビナー「水と持続可能な経済開発~アジアにおけるケーススタディの成果と教訓~」を開催しました。アジア各国を中心に110名が参加した本行事では、4か国から13名の専門家が発表を行い、その内容はネパールの全国紙5紙で紹介されました。

    ウエビナーでは、アジアの開発途上国が直面する水の課題が、ネパール・カスキ郡とインドネシア・バリ州の事例の検証を通じて共有・協議されました。最初の発表者であるUNU-IASアカデミック・プログラム・オフィサーの福士謙介教授は、水と持続可能性の繋がりを国際的な事例を用いて説明した上で、経済発展における水質の必要性を強調しました。次にポカラ大学教授のハリ・クリシュナ・シュレスタ氏が、ネパールの文脈で水と持続可能性に関する発表を行い、地方政府の能力開発を通じて、地域レベルで水文データの収集を強化し、水ガバナンスと水へのアクセスを確保することの重要性を訴えました。

    続く発表では、水と経済発展についての技術的な課題が共有されました。ネパール・ルンビーニ県インフラ開発省のコフラ・シュレスタ女史は、ネパールにおけるSDGsの実施進捗と、同国で2020年に策定された水資源関連政策について講演。ポカラ大学工学部助教授のラジーブ・ポックレル氏は、カスキ郡における経済・公共インフラ・土地利用の変化の時間的推移と、変化が環境や人間の生活に及ぼす影響について考察を述べました。UNU-IASからは、リサーチフェローであるギータ・モハン氏とサローズ・チャパガイ氏が、WSDプロジェクトがカスキ郡で実施したケース・スタディの成果を、産業セクター別の経済活動と水消費・水質汚染との関連性を中心に発表し、経済発展が環境の持続可能性にもたらすインパクトや政策面での対応等について説明しました。最終発表では、ウダヤナ大学教授のアイ・マデ・スダルマ氏が、インドネシア・バリ州におけるバトゥール湖の生態系保全の経験について語りました。

    ポカラ大学工学部教授のビナヤ・クマール・ミシュラ氏がモデレーターを務めた質疑応答と協議のセッションでは、日本及びネパールの学術界、政府、研究機関等からのパネリストが、水管理と持続可能な経済発展についての優良事例を共有しました。閉会にあたり、ネパール水・エネルギー委員会のマダヴ・デヴ・アチャリヤ氏は、本ウエビナーにおいて多種多様な議題が協議されたこと、ウエビナー及びWSD事業の成果が、今後アジアの水関係者に十分活用されることを願うと述べました。