2030アジェンダと気候行動のシナジー強化を議論

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  • 2024年4月9日     東京

    2024年3月4〜6日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、2024年7月開催予定の国連持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム (HLPF)におけるSDGs(持続可能な開発目標)目標13(気候変動に具体的な対策を)のレビューに向けた専門家会合を共催しました。本会合には国連システム、政府、民間企業、学術界および市民社会より専門家やステイクホルダーが集い、他のSDGs目標とのコベネフィット(一つの対策が複数の利益につながること)やシナジー(相乗)を確実にしSDGs目標13を前進する上での機会と課題について話し合いました。レビューではパリ協定とSDGsのシナジー強化に関する国際会議国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(UNFCCC COP28)における議論を振り返りました。その上で得られた知見、優良事例、教訓、政策を推進するための提言、パートナーシップおよびあらゆるステクホルダーに向けた協調的行動について専門家より共有が行われました。UNU-IAS 山口しのぶ所長と竹本明生プログラムヘッドがUNU-IASを代表して会合に参画し、これまでのUNU-IASの研究成果や取り組みを紹介しました。

    山口所長は気候変動、生物多様性損失および汚染という3つの環境危機に対処するために、自然を保全し公正で公平な移行を実現することが重要であると話しました。また、気候関連政策の費用と便益がセクター間で不平等に分配されていることを踏まえ、セクター横断的な協力、長期的な気候目標への十分なリスク評価および社会的な救済措置などより広い文脈で公正な移行を捉える必要があると述べました。気候行動が潜在的な対立や意図しない結果をもたらすことから、山口所長はSDGs目標13達成に向けた教育の重要性を強調しました。そして、UNU-IASが昨年立ち上げたパリ協定特修コースについて紹介しました。

    竹本プログラムヘッドは、クリーンエネルギー技術に不可欠となる重要鉱物について、持続可能で責任のある生産の重要性を取り上げました。とりわけ先進国において重要鉱物は需要拡大が想定されることから、スコープ3(製品の原材料調達から製造、販売、消費および廃棄に至るまでの過程における温室効果ガス排出量)の考え方を促進し生産国における環境、社会保護対応に関する透明性を強化することが必要であると述べました。

    また、食料システムが世界の温室効果ガスの排出量の3分の1を占めることから、サプライチェーン全体での排出削減に向けた取り組みやエビデンスを基とした需要サイドにからの取り組みと併せて、国際的な政策枠組みの構築を通して排出量を削減することが重要であるとも話しました。

    本会合は、国際連合経済社会局(UNDESA)、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局が主催し、環境省および公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)の協力により実施されました。

    最後に、UNDESA 、UNFCCC事務局より、統合的な解決策を推進するためには政策枠組み、財政措置およびデータや報告が重要であることを指摘した上で、包摂的なマルチステイクホルダーアプローチ、分野横断的アプローチの必要性を強調し、会合を締め括りました。