国連世界データフォーラムにて専門家が持続可能性のためのデジタル革新について議論

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  • 2023年5月5日     マカオ

    Photo: Montage Studio

    2023年4月25日、国連世界データフォーラムサテライトイベントが中国のマカオで開催されました。国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、「公共サービス、通信、および地理空間情報システム(GIS)におけるデータのジレンマ」と題したセッションのモデレーターを務め、学術界、国連機関、民間企業からの専門家が一堂に会して、持続可能な開発のためのデジタル革新と地理空間情報の統合的な活用について議論を行いました。本イベントは、国連大学在マカオ研究所(UNU-Macau)、科学技術発展基金(FDCT)、マカオ大学、マカオ科技大学、セント・ジョセフ大学の共催で行われました。

    冒頭、国連アジア太平洋経済社会委員会(UN ESCAP)のティツィアナ・ボナパーチェICT防災・減災局長は、インドネシアにおける「UNESCAP Space+ for Earth and Future」などのプロジェクトを紹介し、実効性のある取り組みを通じて全てのSDGsの目標を達成するためには、トレーニングと能力育成が必要であると述べました。また、データのジレンマについて、UNESCAPがボトムアップ型のアプローチを採用し、市民による地理空間情報の理解を促進していると解説しました。

    香港大学のペン・ゴン教授は、「グローバル・シームレス・データ・キューブ」とiMapについて発表し、農業、持続可能な都市開発、災害の事前予測の分野で衛星データを活用することの重要性を強調しました。また、自身の研究チームで取り組んでいる、地球の観測データ収集のためのリモートセンシング(対象に触れずに観測する)技術についても紹介し、アマゾン川の洪水パターンなど、当該データと計算能力が気候変動の影響の監視や予測に活用できることを説明しました。

    UNU-IASのリサーチフェローでもあるシェングル・リ アカデミック・アソシエイトは、カーボンニュートラルへの移行におけるデジタル技術の役割に触れ、家庭と都市のエネルギー消費を削減するためのAIとIoTの活用について解説しました。また、デジタル革新の課題解決に対処するためには、デジタル技術および分野横断的な協働に向けた包摂的なアプローチが必要であることを強調しました。

    マカオ・ウォーターのソフィア・チェン氏は、水のスマート管理や供給のための、データ取得監視制御システム(SCADA)を活用したスマート・ウォーター・システムについて説明しました。また、同社が温室効果ガス(GHG)の分析と管理にエネルギー管理プラットフォームを使用して、マカオにおける有害な藻類の特定のために試験的にAIを活用してきたことを紹介しました。

    中国科学院 (CAS)の専門家らは、ビッグデータと持続可能な開発への取り組みを紹介しました。CASビッグデータ国際研究センターのシャオソン・リ氏は、モニタリングのための持続可能な発展科学衛星1号(SDGSAT-1)の打ち上げを含む、SDGsの環境関連目標のデータ収集および情報提供に向けた同センターの活動を紹介しました。また、同センターのゲンスオ・ジア氏は、小さなデータを照合して地球科学や政策の意思決定に役立てる「CAS Earth Big Earth Dataプログラム」について解説し、社会科学と市民科学のデータを既存のインフラに統合するための課題について述べました。CASリモートセンシング デジタル地球研究所のメン・ワン氏は、科学的情報から社会実装を加速させるためのビックデータの役割や、SDGs達成に向けたビッグデータセンターの設立に向けた中国の公約、「SDGsビッグデータ・プラットフォーム」の設立、および温室効果ガス(GHG)の排出が多い産業を追跡するためのリモートセンシング・データの活用について紹介しました。

    Photo: Montage Studio

    セッションの締めくくりとして、UNU-IASの竹本明生プログラムヘッドは、公共サービスや通信およびGISなどの分野におけるデータのジレンマ解消に向けたパートナーシップの必要性について述べました。また、民間企業との協働における課題について言及し、協力の促進においては中立的なプラットフォームが重要であると話しました。そして、いかにボトムアップ・アプローチが地理空間情報の理解促進に役立つかを解説するとともに、特に若手の実務者および研究者の能力育成の必要性を強調しました。