シンポジウム「SDGs達成に向けた政策志向型研究の展望」を開催

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  • 2019年11月14日     東京

    2019 年11月1日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)はシンポジウム「SDGs達成に向けた政策志向型研究の展望」を、東京大学、Future Earth日本委員会、国立環境研究所(NIES)とともに開催しました(協力:(独)環境再生保全機構 環境研究総合推進費(1-1801及びS-16)、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN Japan)、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC))。本シンポジウムは、ネボーヤ・ナキセノヴィッチTWI国際研究プロジェクト主査・元IIASA副所長をはじめとするSDGs研究の専門家を招き、政策志向型研究の課題と展望を探るもので、UNU-IAS所長を約6年にわたり務めてきた竹本和彦所長の退官記念行事として開催されました。

    はじめに沖大幹UNU上級副学長が開会挨拶として、竹本所長がこれまでUNU-IASを率い、政策志向型研究及び地域・世界規模に広がる課題に取り組んできたことに対するお祝いの言葉を述べました。デイビッド・マローンUNU学長は、持続可能な開発、生物多様性及び気候変動に関する研究を牽引してきた竹本所長のリーダーシップに、また東京大学および上智大学との協働で行われた大学院プログラムの構築に、感謝の意を表しました。

    竹本和彦所長は、記念講演「持続可能な将来に向けた政策志向型研究の展望」において、政策志向型研究およびキャパシティ・ビルディングを通じて国連システムや加盟国に対して貢献すること、例えば生物多様性及び生態系サービスに関する世界的・地域的アセスメント等の分野において科学と政策形成の架け橋を作ること等、UNU-IASの可能性と今後の展望を示し、また今後、科学ネットワークにより集積されたESD(持続可能な開発のための教育)や生物多様性の持続可能な利用についての知見を一層活用していくことの重要性を強調しました。

    ネボーヤ・ナキセノヴィッチ氏は、招待講演「SDGs達成に向けたトランスフォーメーションとTWI2050」において、Anthropocene(人類世)における共通責任、また人間の安全保障とプラネタリー・バウンダリーの相乗作用(シナジー)を強化することの重要性を述べました。さらに、デジタル化の可能性とリスク、またデジタル人類世において持続可能性に向け責任ある行動を取ることができるよう、知識および社会を構築していくことの必要性を強調しました。

    パネルディスカッションでは、2030アジェンダの実施における政策・ガバナンスの側面に言及しつつ、竹本所長がモデレーターを務めました。パネリストからは、まず藤田壮NIES社会環境システム研究センター センター長が、政策シナリオ、スマートコミュニティ、低炭素シナリオ、SDGs政策指標評価等を含め、日本におけるSDGsのローカリゼーションの複数のパイロット研究を紹介しました。マヘスティ・オキタサリUNU-IASリサーチ・アソシエイトは、2016-2019年に各国から国連に提出された自発的国家レビュー(VNRs)分析を基に、2030アジェンダ実施の世界的・地域的な進展について強調しました。続いての増田大美UNU-IASプログラム・コーディネーターが、2030アジェンダをローカルレベルで実施する上での革新的アプローチ・課題について、日本のSDGs未来都市事例も含め、ガバナンス、主流化プロセス、多様なステークホルダー間のパートナーシップに焦点を当てて紹介しました。蟹江憲史慶應義塾大学教授/UNU-IASシニア・リサーチフェローは、21世紀に持続可能な開発を達成する上で統合と対策間の一貫性が果たす役割を強調し、SDGs達成に向けた目標ベースのアプローチ、また日本の企業ガバナンス過程を紹介しました。その後、ディスカッサントの森田香菜子森林総合研究所主任研究員/UNU-IAS客員リサーチ・フェローが、SDGs達成に向けた論点として、複雑化した課題に対して科学と政策をつなぐこと、対策の実施、また持続可能なファイナンスの3点を挙げました。

    会場の参加者からは、各発表に対しSDGs達成に向け、デジタル化と気候変動、教育の役割、ルール作りの重要性、健康の観点等に関する質問があり、登壇者との間で活発なやりとりが展開されました。今回のシンポジウムでの議論を通し、持続可能な開発に向け、研究スコープをテクノロジーから人類に広げていくこと、また効果的な対策を特定していくことの重要性が認識されました。