「気候変動で故郷を追われる人びと」トーク&映画上映を開催

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  • 2019年12月1日     東京

    UNU-IASは11月22日(金)、国連大学との共催で「気候変動で故郷を追われる人びと」トーク&映画上映のイベントを開催しました。地球温暖化や異常気象、海面上昇など、気候変動のさまざまな側面が緊急性を帯びる中、それらが「人の移動」にどのような影響を与えるのか、専門家による解説と映画を通して議論しました。

    イベント冒頭、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)執筆者でもあるリヤンティ・ジャランテUNU-IASアカデミック・プログラム・オフィサーがレクチャーを行い、気候変動が影響を及ぼしている分野や地理的分布、また気候変動による災害の状況について解説しました。温暖化を例にあげ、「地球の温度が1℃高いというのは、高熱を出していてすぐに緊急治療を行わなければいけない状況と同じです。すでに苦しんでいるので、これ以上熱が上がらないようにしなければいけないのです」と話しました。

    上映映画『The Climate Limbo』は、イタリアを舞台に、気候変動の影響と向き合う人々および環境問題に関連して庇護申請を行っている人々を通して気候変動と人の移動のつながりを掘り下げた作品です。上映後は本映画の監督であるエレナ・ブルネッロ氏が登壇し、作品をつくるに至った動機やそれに込めた思いを語りました。「気候変動というとどこか遠い問題のような感覚がまだ根強くある。しかし先進国を含めどの国でも影響は出ていて、人の移動はその一つ。どう取り組んでいくのか私たち一人一人が考えていく必要がある」と語りました。

    また、雨の中来場された100名以上の方々とともにQ&A形式のディスカッションを実施しました。環境教育の役割や環境問題に関心を持つ若い世代の可能性、映画の中に登場する人物のインタビュー手法に関する質問などが飛び交いました。さらに、人の移動を引き起こす主な原因である紛争と、気候変動によって引き起こされる人の移動の関係性についても触れ、ジャランティ氏は「すでに紛争下にある地域では、気候変動によってその状況がより悪化する」と述べました。

    より多くの人が気候変動の問題をより身近なものとして捉えていけるよう、研究者とクリエイターの連携がますます重要になっていくことが、本イベントを通して再認識されました。