地球規模課題解決に資する国際協力プログラム (GGS) 第2期 中間報告会を開催

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  • 2018年12月6日

    2018年11月1日UNU-IASは、文部科学省拠出国連大学助成事業「地球規模課題解決に資する国際協力プログラム (Grant for Global Sustainability: GGS)」第2期の中間報告会および審査会を行いました。現在、「包摂的開発の実現に向けた教育とガバナンス」「地球システムが直面する課題解決」「都市と居住が直面する課題解決」のテーマで実施中の3つのプロジェクトについて、名古屋大学、京都大学、茨城大学から過去2年間におけるプロジェクトの進捗状況と成果に関する報告を受け、審査の結果、プロジェクト実施3年目となる来年2019年度の継続が承認されました。

    GGSは、文部科学省のサポートにより2015年度に新設された助成事業です。採択プロジェクトは、持続可能な開発に関する分野に特化し、「持続可能な開発目標(SDGs)」に貢献しうる内容であることが求められています。
    各事業の概要と進捗状況は下記をご覧ください。中間報告書もダウンロードできます。

    テーマ1 「包摂的開発の実現に向けた教育とガバナンス」分野
    名古屋大学
    『ディーセント・ワークにつながる知識と技能:開発途上国における職業教育課程(TVET)修了労働者の技能測定モジュールの開発とカリキュラム評価』

    概要と進捗状況:
    本プロジェクトは、アフリカ諸国における産業人材育成の適切性の向上を図るため、事例国であるエチオピア、南アフリカ、ガーナにおいて、職業能力評価基準に関わる政策・カリキュラムの分析や調査等を行い、それに基づいた技能評価モジュールを試作し、実践及び信頼性検定を重ね、他国でも導入可能な精度の高い技能評価モジュール開発を目的としている。初年度となる2017年は、主に日本において技能開発モジュールの試行と修正に取り組み、2018年度には、事例3カ国で技能評価モジュールの現地での適応のためのサンプルテストや、技能評価実施に向けたロジスティックな手配を終え、今年度末までに3カ国で順次、それぞれ300~500名の参加を得て技能評価を実施することが決定している。既にエチオピアでは、小規模サンプルでの調査結果に基づいて、2017年8月に教育省と国際シンポジウムを実施したほか、関係省庁に対して中間報告書を提出した。特に、教育省では現在、教育5カ年計画の改定作業に入っており、本プロジェクトの報告書が政策形成のために重要だとの要望を得ている。ガーナではインフォーマルセクターの労働者組合の協力により、組織的動員が難しいインフォーマルセクターの労働者のアセスメントも行えることが決定し、南アフリカにおいては現地の助成金を獲得し、本取り組みの持続性が強化された。

    事業地
    エチオピア、ガーナ、南アフリカ

    名古屋大学による中間報告書はこちら(PDF)

    テーマ2「地球システムが直面する課題解決」分野
    京都大学大学院地球環境学堂
    「参加型プラットフォームの活動による都市の災害レジリエンスの向上」中間報告書

    概要と進捗状況:
    本プロジェクトは、熱帯林の保全及びその持続的管理のため、マレーシア・サバ州とインドネシア・東カリマンタン州において、森林管理協議会(FSC)が提案する新制度「生態系サービス森林認証」に導入するための生物多様性可視化技術の技術的検討及び改良を行い、「生態系サービス森林認証」実施に伴う便益及び効果を多面的に検証することを目的としている。FSCでは生態系サービス森林認証を発行する条件として、「生態系サービスにおいて森林管理の正味の負影響がないこと」とする基準を設定しており、この達成に要する基準を証明するための統計手法と手順を開発した。これを用いてインドネシアのRatah Timber社における炭素貯留と生物多様性保護の配慮効果を定量的に示し、このデータを基に監査資料を作成した結果、世界で初となる生態系サービス森林認証がFSCから認められた。さらに、当初の事業計画に加えて、生物多様性の新たな指標開発を目的として、劣化した森林の回復可能性を表す指標の開発に着手した。また日本人を対象としてウェブアンケートをおこなった結果、3774件の回答を得て、森林から産出される木材を原料とした木製品の購入時における支払意志額についてコンジョイント分析を実施した。

    事業地
    マレーシア、インドネシア

    京都大学による中間報告書はこちら(PDF)

    テーマ3 「都市と居住が直面する課題解決」分野
    茨城大学
    『環礁都市における国土維持力の保全・再生による海面上昇適応戦略』
    本プロジェクトは、中部太平洋地域の環礁国が海面上昇に適応するため、マーシャル諸島マジュロ環礁において、排水対策に必要な環境機能を検討し、環礁州島が本来有する砂生産者(有孔虫)の汚染耐力を調査するとともに、国土維持力の保護区域の設定、環礁都市-地下水-海岸を統合した物質流動モデルを開発し、海面上昇に適応した環礁都市のあり方を検討するための手法開発を目的としている。しかし、プロジェクトの実施過程において、有孔虫の砂生産に及ぼす水質汚濁の影響は有孔虫の生息場である海藻にも着眼すべきであることわかり、また、カウンターパートとの議論を通じて、住民による直立護岸の建設、そのための骨材採取のためのリーフの掘削等による砂運搬の抑制がより問題であることが明らかとなった。マジュロ環礁の適応戦略はこの観点を考慮して再構築する必要がある一方、カウンターパートは下水を未処理で放流している現状を大変懸念しているため、物質流動モデルの構築は取り止めて、有孔虫による砂生産へのインパクトをさらに詳細に解明すること、下水放流の影響を数値計算により明らかにすること、そして海岸構造物の建設等を想定した適応戦略を取りまとめることとした。

    事業地
    マーシャル諸島

    茨城大学による中間報告書はこちら(PDF)