2016年11月1日 東京
UNU-IASは2016年10月11日、文部科学省拠出国連大学助成事業「地球規模課題解決に資する国際協力プログラム (Grant for Global Sustainability: GGS)」の中間報告会および審査会を行いました。現在、「包括的開発の実現に向けた研究」と「地球システムが直面する課題解決」のテーマで実施中の2事業について、広島大学と京都大学から報告を受け、審査の結果、一年の事業延長が決定しました。2017年度も事業が実施されます。
GGSは、文部科学省のサポートにより2015年度に新設された助成事業です。採択事業は、持続可能な開発に関する分野に特化し、「持続可能な開発目標(SDGs)」に貢献しうる内容であることが求められています。
各事業の概要と進捗状況は下記をご覧ください。中間報告書もダウンロードできます。
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広島大学教育開発国際協力研究センター
「開発途上国における学び改善のための包摂的教育システムモデル構築事業」中間報告書
概要と進捗状況:
SDGsの目標4「2030年までに、包括的で公平な質の高い教育と生涯にわたる教育をすべての人に提供する」の実現を目指す本事業では、現在の教育システムが抱える問題を克服するため、既存の優良事例の制度化を進め、途上国自らの努力で、包括的で公平な質の高い教育が実施できるよう取り組んでいます。一年目となる2015年度は、各事業地で優良事例の発掘、課題や問題の実態把握、現地で発見された優良事例や先進国の取り組みを参考にしながら、改善方法を検討しました。2016年度には、独自に改善策を見出し実践している学校と、未だに問題を抱える学校に対する、対応策・解決策の提案に向けて調査や研究を行っています。また、教育システムの開発も進めています。
事業地
アフリカ(エチオピア、ガーナ、ウガンダ、ケニア、ザンビア、マラウイ)
アジア(タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、バングラデシュ、インド)
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京都大学大学院地球環境学堂
「参加型プラットフォームの活動による都市の災害レジリエンスの向上」中間報告書
概要と進捗状況:
本事業は、途上国における政府機関や住民の災害対策能力の向上を図り、自然災害に対する都市のレジリエンスを高めることを目的としています。災害対策の第一歩であるリスクアセスメントにおいて、住民自身がリスクの種類を理解し、アクションプランを作成することが骨子となっており、住民によるアクションプランの作成や汎用的なモデルの開発を通じて、他の都市でも同様の自主的な取り組みが可能となる行動計画の作成を進めています。初年度となる2015年度は、キックオフ会議を開催し、現地カウンターパートとMOUを締結しました。2016年度は、計6回のワークショップ・リスクアセスメントを開催し、災害時に受けるダメージの見積もりや種類に基づいて、アクションプランの作成等を進めています。このほか、モデル開発に反映するため、5つのテーマ (1) 都市の地震災害リスクアセスメント(2) 実用的な行動評価の開発(3) 防災教育(4) 住宅分野の研究(5) 社会的公平性の確保ーに沿った共同研究を行っています。
事業地
カトマンズ(ネパール)、ヤンゴン(ミャンマー)