GGS第2期最終報告会を開催

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  • 2020年12月2日

    UNU-IASは2020年10月2日、文部科学省拠出国連大学助成事業「地球規模課題解決に資する国際協力プログラム (GGS)」の第2期目採択プロジェクト (2017-2019) の最終報告会を行いました。当初は2020年3月に開催の予定でしたが、COVID-19感染拡大のため延期され、オンラインでの開催となりました。地球規模課題解決に資する国際協力プログラム (GGS) は、文部科学省のサポートにより、2015年度より実施されている事業です。今回の最終報告会では、第2期目として2017年度に採択された三件のプロジェクトが三年間の実施から得られた成果を発表しました。以下は報告内容の要旨となります。

    テーマ1「包摂的開発の実現に向けた教育とガバナンス」分野 (名古屋大学)
    ディーセント・ワークにつながる知識と技能:開発途上国における職業教育課程(TVET)修了労働者の技能測定モジュールの開発とカリキュラム評価

    本プロジェクトは、アフリカ諸国における産業人材育成の適切性の向上を図るため、事例国であるエチオピア、南アフリカ、ガーナにおいて、職業能力評価基準に関わる政策・カリキュラムの分析や調査等を行い、それに基づいた技能評価モジュールを試作し、実践及び信頼性検定を重ね、他国でも導入可能な技能評価モジュールを開発した。プロジェクト実施国内(ガーナ、エチオピア、南アフリカ)での政策提言を目的としたシンポジウム等を通じて広く現地政府側に認知され、エチオピアでは草の根資金協力事業として本プロジェクトが実装化される。またUNESCO国際教育計画研究所からも、政策形成のためのエビデンス作りのために技能評価実施の要請を受けている。

    テーマ2「地球システムが直面する課題解決」分野 (京都大学大学院 農学研究科)
    生物多様性保護と持続的森林利用の調和的達成に向けた、生態系サービス森林認証への生物多様性可視化技術の導入

    本プロジェクトは、熱帯林の保全及びその持続的管理のため、マレーシア・サバ州とインドネシア・東カリマンタン州において、森林管理協議会(FSC)が提案する新制度「生態系サービス森林認証」に導入するための生物多様性可視化技術を生態系サービス森林認証のパイロット試験に応用し、監査資料を作成することによって、実証的に生態系サービスのモニタリング・検証・報告方法を確立した。これにより、生態系サービス森林認証を世界初のケースとして受け (パイロット試験のため、暫定的で効力は1年のみ)、また、FSCの生物多様性評価の一基準として採用されるなど、グローバルレベルで政策提言に貢献できる実証的成果が創出された。

    テーマ3「都市と居住が直面する課題解決」分野 (茨城大学)
    『環礁都市における国土維持力の保全・再生による海面上昇適応戦略』

    本プロジェクトでは、中部太平洋地域の環礁国が海面上昇に適応するため、マーシャル諸島マジュロ環礁において、排水対策に必要な環境機能の検討と、環礁州島が本来有する砂生産者(有孔虫)の汚染耐力を調査し、海面上昇に適応した環礁都市のあり方を検討するための手法開発を目的とした。政策決定に関係する海岸管理諮問会議(CMAC)、マーシャル諸島共和国環境保護局(RMIEPA)、マーシャル諸島海洋資源局(MIMRA)、公共事業省(MWIU)、マーシャル諸島短期大学(CMI)が参画し、分野横断的な取り組みを要する適応策実施に向けた縦割り行政を超えるネットワークを形成し、総合的に海面上昇適応戦略をまとめることができた。

    今後UNU-IASは、これら三件のプロジェクトから得られたネットワークと成果をもとに、ポリシーブリーフの発刊や、関連する国際会議に政策提言を行っていく等の連携を進めていく予定です。

    審査委員会による講評の要旨

    (関連URL)

    GGS第2期プロジェクト実施の開始

    GGS第2期中間報告会の開催