2023年7月27日
2023年7月17日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、国連持続可能な開発目標に関するハイレベル政治フォーラム2023(HLPF 2023)でのサイドイベントにて、アジアやその他の地域における気候変動、生物多様性の喪失、環境汚染や関連課題の解決に向けたシナジー(相乗効果)行動を模索しました。また、さまざまな問題にまたがるシナジーを活用した解決策を生み出すために、エビデンスと行動との結び付きを強化する方法について議論しました。
本イベントは、「第4回パリ協定とSDGsのシナジー強化に関する国際会議」での議論を深めるとともに、2023年9月に開催される国連SDGサミットで発表される『専門家グループ報告書-最大限のインパクトをもたらすための気候・SDGs間のシナジー』への情報提供を行いました。
開会挨拶で、環境省の柳本顕 環境大臣政務官は、昨年東京で開催された「第3回パリ協定とSDGsのシナジー強化に関する国際会議」と、前日にニューヨークで開催された「第4回パリ協定とSDGsのシナジー強化に関する国際会議」を振り返り、両イベントが気候変動と生物多様性に対する取り組み間のシナジーの重要性を強調していたことに触れ、このようなシナジーの創出促進に向けて知見を蓄積することの必要性について語りました。
基調講演では、地球環境戦略研究機関(IGES)の武内和彦 理事長が、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)が掲げるビジョンである、人と自然が調和する共生社会を実現することの重要性を強調しました。また、いかにエビデンスと行動とのつながりを強化するか、という本イベントの核心的な問いを含め、参加者に主な議題を紹介しました。
登壇者らは、インド、カザフスタン、韓国などの国々における実践経験と得られた教訓を共有し、シナジーを最大化するための機会について議論を交わしました。また、アジア太平洋地域は気候変動、環境汚染、生物多様性の喪失という3重の地球危機の最前線にあり、同地域におけるSDGs達成への進捗が立ち遅れていることを強調しました。
重要なメッセージとして、エビデンスを行動に変換する際に自然を取り組みの軸に据えることの重要性、および持続可能な開発に生態系とその恩恵を統合することの必要性が確認されました。さらに、政策立案においては各国特有の背景や状況を考慮することが強調されました。
閉会挨拶では、UNU-IASの山口しのぶ所長が、気候変動とSDGsの取り組みのシナジーを創出するために、エビデンスを行動へ変換するという重要なテーマについて多くの議論が交わされたことに感謝の意を表しました。そして、「第4回パリ協定とSDGsのシナジー強化に関する国際会議」におけるパネリスト参加というUNU-IASの貢献に触れ、地域を超えたシナジー的解決策を求める機運の高まりを歓迎すると述べました。さらに、HLPF2023やSDGサミット2023、COP28で開催されるグローバル・ストックテイクなどの主要な国際会議を含め、この継続中の政策議論における重要なポイントを特定した上で、これらの国際会議がこれまでの進捗を振り返り、評価し、行動への誓いを新たにするための重要な機会となることを強調しました。その際、UNU-IASが2023年9月から大学院学位プログラムに新たに開講する気候変動に関するパリ協定専攻について紹介し、アジア内外における気候とSDGsへのシナジー行動の一層の拡大を呼びかけました。
本サイドイベントは、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)、環境省、国際応用システム分析研究所(IIASA)、およびUNU-IASの共催で行われました。本イベントのアーカイブ映像は、こちらからご視聴いただけます。