2024年8月6日
2024年7月15日、国連大学(UNU)が共同議長を務める高等教育サステイナビリティ・イニシアティブ(HESI)は、ニューヨークで行われた国連持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム2024(HLPF)にて特別イベントを開催しました。持続可能な開発のための高等教育の未来をテーマに開催されたHESIグローバルフォーラムでは、マルチステイクホルダーが集い持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する革新的なプロジェクトを紹介しました。
本フォーラムでは、新しい技術が高等教育における持続可能性の取り組みをどのように推進するか議論しました。マルチステークホルダーパネルディスカッションでは、AIなどの新しい技術を活用したSDGsの推進、高等教育での持続可能性の促進に向けた革新的な教育と学習の実践、高等教育の今後の展望および大学と他のステークホルダーとのパートナーシップの強化について話し合いました。
シャオメン・シェン国際大学欧州副学長兼国連大学環境・人間安全保障研究所所長は、 高等教育の変革やグローバルな課題に対処し、新しい技術を活用することの緊迫性を強調しました。また、AIを含む技術の潜在能力を取り上げ、新しい技術がSDGsの達成や世界が直面する相互に関連した課題の解決に貢献しうると指摘しました。さらに「AIは強力で変革的なツールである一方で、諸刃の剣でもある。」と述べ、その環境への影響やますます向上する能力によって引き起こされる実存的な課題について言及しました。この課題に向けた取り組みは「すべての学習者に包括的なアクセスを保証し、技術の格差を埋め、人権を核とした倫理的なAIの開発」の推進に向け、高等教育が重要な役割を果たす機会でもあります。
ジョンウィー・パク国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)アカデミック・プログラム・オフィサーは、UNUがユネスコ・ラテンアメリカ・カリブ海高等教育国際研究所(IESALC)と共同で主導する高等教育とAIの未来に関するHESIアクション・グループの立ち上げを発表しました。パクアカデミック・プログラム・オフィサーは「持続可能な開発のためのAIのエビデンスに基づく方向性を社会に提供するために、高等教育を中心に据えたい。」と述べ、AIの利用による潜在的な利益を最大化し、リスクや格差問題を最小化するための高等教育の重要な役割を強調しました。本アクション・グループは、持続可能な開発の視点から高等教育におけるAIの現在の傾向、機会およびリスクに関する知識基盤を構築する学際的な協力プラットフォームです。教育と学習のためのAI、研究開発、コミュニティ、産業の参画におけるAI、大学行政におけるAIおよびAIの倫理と包摂性などのテーマごとにサブ・アクショングループが結成される予定です。パクアカデミック・プログラム・オフィサーは、本アクション・プログラムに参画するパートナー機関の呼びかけも行いました。
HESIグローバル・フォーラムは、高等教育における持続可能な開発のための政策や実践を形成する提言や戦略を創出しました。さらに、2024年9月の未来のサミットで提唱または発表される新たな取り組みの準備のためのプラットフォームとして開催されました。