ICERDセッションで循環型経済教育プロジェクトに注目

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  • 2023年3月14日     オンライン

    2023年3月4日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、第14回環境・農村開発国際会議(ICERD)にて「地域コミュニティにおける持続可能な開発のための循環型経済教育」をテーマにセッションを開催しました。本イベントでは、循環型経済モデルの推進と実践を焦点に、地域レベルで環境問題に取り組む際の教育、多様なステークホルダーとの連携、コミュニティの関与の役割について議論しました。

    UNU-IAS の小西美紀プログラム・コーディネーターは、持続可能な開発のための教育(ESD)に関する地域の拠点(RCEs)の概要を説明し、複数のSDGs、特に目標12(持続可能な生産と消費)の達成に貢献すると同時に循環型経済を推進するような、アフリカのRCEによって実行されている各プロジェクトについて紹介しました。

    RMIT大学のウシャ・イヤー・ラニガ教授の基調講演では、アジア太平洋地域の建築環境の循環型経済教育に関するProSPER.Net共同研究プロジェクトに焦点が当てられました。イヤー・ラニガ教授は、建築・建設部門が与える影響力の大きさ、バリューチェーンを循環させることの重要性、そして業界に対してより多くのインセンティブと利益を生み出すための「多重R原理(multiple R-principles)」を導入する必要性を強調しました。そして、万能なアプローチは存在せず、優良事例を適用するにあたっての最適な方法を見つけるためには、文脈を理解することが必要だと指摘しました。

    RCEの代表者たちは、それぞれの地域で循環型経済を推進している各プロジェクトについて議論しました。マレーシアのRCEクチンのシェリーミナ・アナク・キチン氏は、学校や地域社会において廃棄物管理を促進することを目的に、5R(リフューズ、リデュース、リユース、リサイクル、リパーパス)を通じて生徒たちを河川保全活動に参加させるプロジェクトについて語りました。RCE南ベトナムのホアン・ニャット・チュオン氏は、ベトナム南東部における有機農業を推進するための能力構築の取り組みを紹介しました。本プロジェクトでは、包括的なデータベースをまとめ、現在の実践を評価し、研修資料を作成し、300人以上の農家に対して有機農業の実践に関するワークショップを提供しています。フィリピンのRCEイロコスのチャーリー・バティン氏は、持続可能な竹の生産、管理、再生、加工を奨励するような、竹の生産者、製造メーカー、地方自治体、大学の専門家を巻き込んだプロジェクトについて発表しました。本プロジェクトは、バイオ・循環型・グリーン(bio-circular-green)経済モデルを推進する一方で、地域における所得向上と失業率の低下に貢献しました。

    シェリーミナ・アナク・キチン氏は、教育を通じた循環型経済促進における課題を振り返り、COVID-19の世界的大流行がプロジェクトの実施と予算に及ぼした悪影響について言及しました。RCE南ベトナムは、農家の認識不足と有機肥料などの資源が入手困難なことから有機農業を推進する上で課題に直面しましたが、成功事例の共有が、農家による持続可能な農業モデルの適用につながりました。RCEイロコスの事例では、能力構築活動が、収入を生み出し持続可能なコミュニティを構築する、重要な資源である竹の価値をコミュニティに再認識させる鍵となりました。

    セッションを総括して、UNU-IASのマリオ・タブカノン客員教授は、パートナーシップと協働を通じた持続可能な変革のための地元の、そして地域の原動力となるRCEの重要性について改めて言及しました。また、能力開発と問題解決型の教育が、循環型経済モデルの推進に重要な役割を果たすことを強調しました。RCEの事例研究は、革新的なESDのリーダーシップが、いかにSDGsの達成に貢献し、また知識の共有および多様なステークホルダーへの働きかけを拡大させるかを示しています。