「国連大学SDG大学連携プラットフォーム(SDG–UP)」第1回ワークショップ開催

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ニュース
  • 2020年11月3日

    2020年10月30日、UNU-IASが設立したSDG大学連携プラットフォーム(SDG–UP)の第1回ワークショップが、実際の会場参加とオンライン参加を組み合わせる形で開催されました。国連大学の会場には、全国各地からの参加大学29校から計20名の代表者が来場、オンラインでは52名の代表者および大学関係者が参加しました。挨拶・基調講演に続き、各大学代表による自己紹介、およびグループに分かれての活発な議論が行われました。

    山口しのぶUNU-IAS所長が、世界が未曾有の新型コロナウィルス感染拡大に対応する今、2015年の策定から5年がたった持続可能な開発目標(SDGs)の本格的な達成に向けて、次世代の育成および地域創生の要である大学の役割に大きな期待が集まっていることを指摘しました。その上で、「本プラットフォームのねらい」を説明しました。日本の学生のSDGsの認知度は、近年45%と高くなっているにもかかわらず、世界の高等教育分野において日本の大学のSDGsに関わる活動の国際的な認知度はいまだ低水準にあると言わざるをえません。この現状を踏まえ、山口氏は、より良い社会づくりに貢献するためこれからの大学に求められるのは、個々の大学の独自性を磨き上げ、社会での発信力を向上させ、様々なステークホルダー(関係者)と緊密な連携を図ることであると強調しました。それにより、大学に関わる人々(研究者、学生、職員)が変わり、社会へ大きな影響を与えることが期待されます。また、本プラットフォームを通じて、国連大学とSDGsに積極的に取り組む日本の大学とが連携し、社会、経済、環境を総合的に考える視点に立ってどのような役割を担うことができるかを議論すること、さらに直面する課題の共有を通じて解決策を考えていくことを確認しました。また、国連大学の世界的なネットワークを駆使した戦略的な情報発信、ポータルサイトの構築、評価機関への意見の提出などを行っていきたいとの今後の展望を示しました。

    続く基調講演では、村田俊一関西学院大学総合政策部教授が「開発パラダイムの変遷とSDGs:多国間協力の推進とアカデミアの挑戦」と題し、SDGsの原案作成の原則と仕組み、開発アプローチの歴史的変遷、今後の課題などについて述べました。村田氏は、国連開発計画(UNDP)で駐日代表を務めた他、アジア太平洋経済社会委員会(UN-ESCAP)を含む国際機関および研究機関に長く在籍、SDGsの規約やルール形成にも携わった経験に基づき、貴重なエピソードを交えながら解説しました。SDGsの3つの基本原則は、人権、平等、持続可能性であることを示した上で、貧困の撲滅に向けては、新しい開発パラダイムのもと、問題を次世代に先送りしないよう若い世代を中心に考える倫理観を持つことが重要であると述べました。また、環境、経済成長、社会、ガバナンス(統治)の4つの領域がバランス良く融合されたところに17の目標があることを確認し、既存の組織の垣根を越えた協働を促すことで社会変革を考えることがSDGsの神髄であると強調しました。UNDPでの経験にも触れ、1980年代の後半にミレニアム開発目標(MDGs)の母体となった人間開発報告書の制作に携わった際、開発途上国の学者が中心になって活動を行い、途上国発の開発アプローチが見事に浸透したという事例を紹介しました。また、行為主体とパートナーシップは複雑化かつ多様化してきており、旧来の枠に囚われない価値観の形成に寄与し新しい社会の実現を目指すためには、我々が果たすべき使命を真剣に考えていかなければならないと指摘しました。本ワークショップに参加している各大学の関係者は、世界規模のシンクタンクとして、SDGs達成を目指し、政治や行政に対して影響力を有する政策提言をしていくことが可能であると力説しました。そして、大学間で協力しあえる環境作りを国内外を問わず構築していくことが我々の重要な役目であり、その実現のため今後具体的な計画を立てていきたいと述べました。

    次に、参加29大学の代表による自己紹介が行われました。このプラットフォームの場で、他大学の取り組みを積極的に学び、自らの活動に活かし推進していきたいという各大学の積極的な姿勢が示されると共に、SDGsといえば日本の大学、との国際的な評価を得られるよう、今後共に努力をしていきたいという熱意が述べられました。その後、1)誰のための開発協力およびSDGsか 2)実施に際しての問題点 3)アカデミアの役割 の3点について議論が行われました。会場参加3グループ、オンライン参加5グループに分かれ、各々の大学の立場から、真剣な意見交換が行われました。

    そして、秦絵里文部科学省大臣官房課長補佐が、一人一人が自分ごととして課題と向き合い社会に貢献できるような、豊かな創造性を備えた人材を育成するために、大学の役割は今後ますます重要になるだろうと指摘しました。また、その観点からも、国連大学と日本の大学の連携を推進するプラットフォームが今回構築されたことは大変喜ばしいと述べました。

    最後に、本第1回ワークショップの総括として、村田氏は、今後ますます国内外での活動に貢献できるようなオールラウンドな人材、地方創生と国際協力をコミュニティで実践できる人材を育成していかなければならないと述べ、大学ごとの独自性あるカリキュラムを歓迎する意向を明らかにしました。また、SDGsプラットフォームの活動および成果を積極的に発信し、プラットフォームの取り組みをメディアで紹介する機会を増やすことの重要性を述べるとともに、新しい社会の実現に向け実践のための環境を整えることが喫緊の課題であると強調し、本ワークショップを締めくくりました。

    参加大学 29校(アルファベット順)
    青山学院大学
    千葉商科大学
    愛媛大学
    広島大学
    北海道大学
    上智大学
    神奈川大学
    金沢大学
    関西学院大学
    慶應義塾大学
    北九州市立大学
    国際大学
    国際基督教大学
    九州産業大学
    ノートルダム清心女子大学
    奈良教育大学
    お茶の水女子大学
    大阪大学
    大阪医科薬科大学
    創価大学
    東海大学
    東京大学
    東京外国語大学
    東京工業大学
    東京都市大学
    東京理科大学
    東洋大学
    筑波大学
    龍谷大学