ポストコロナ時代のSDGs達成に向けた研究に関する議論

ニュース
関連ファイル
  • 2020年11月26日

    2020年11月10日、国際シンポジウム「ポストコロナ時代のSDGs目標の達成に向けた研究の展開をめざして」が開催されました。本シンポジウムの目的は、アカデミア、政策決定者、民間セクター、市民等多様なステークホルダーの参加を得て、研究プロジェクト「SDGs目標達成に向けた統合的実施方法の包括的検討」の中間成果を共有し、今後の研究展開に向けて議論することです。本シンポジウムは、東京大学未来ビジョン研究センター(IFI)、国際応用システム分析研究所(IIASA)日本委員会、フューチャーアース日本(Future Earth Japan) 、NIESにより共催され、UNU-IAS, 慶応大学、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク・ジャパン(SDSN Japan)、(独)環境再生保全機構「環境研究総合推進費(JPMEERF20181001)」の協力を得て開催されました。

    福士謙介(東京大学IFI副センター長/UNU-IASアカデミックプログラムオフィサー)からの開会挨拶では、SDGsに向けた移行的変化を特定する上での学術的・また政策的課題が紹介されました。近藤智洋(環境省地球環境審議官)からの来賓挨拶では、2050年までのカーボンニュートラルに向けた日本の新たな約束に関する情報共有がなされ、脱炭素、循環経済、分散型の社会に向けたリ・デザインの重要性が強調されました。

    Leena Srivastava (IIASA副所長)は基調講演「ポストコロナ世界における持続可能性への道筋:SDGsを達成するための研究アジェンダを再定義する」において、グローバル協調とエビデンスに基づく意思決定の中でのトランスフォーメーションの重要性、全体のシステムを再構築する必要性、科学研究コミュニティの役割を強化する方法について発表しました。

    Bernadia Irawati Tjandradewi (都市・自治体連合 アジア太平洋地区(UCLG ASPAC)事務局長)は基調講演「ポストコロナ時代のSDGs達成に向けた地方公共団体の役割」において、地方のコロナ対応とSDGsに沿った復興に関するUCLGと地方公共団体のイニシャティブ・優良事例として、SDGsへのファイナンスやデータ管理等を紹介し、研究成果を政策決定過程に反映する必要性を強調しました。

    パネルディスカッションでは竹本和彦(UNU-IAS客員教授/IFI特任教授)がモデレータを務め、研究プロジェクト「SDGs目標達成に向けた統合的実施方法の包括的検討」の中間成果を共有しパネルの議論からのフィードバックを受け、今後の研究展開に向けて議論するという目的が共有されました。藤田壮(東京大学教授/NIES主席研究員)は、SDGsのキー指標を特定する研究プロジェクトとその開発、また福島県新地町におけるモデルケースへの適用状況を紹介しました。蟹江憲史(慶応大学教授/UNU-IAS非常勤教授)はSDGsに関する全体的な傾向について紹介しつつ、SDGsの進捗を評価・共有する必要性、また主に企業セクターに関する先進モデル・基準策定の重要性を強調しました。増田大美(UNU-IASプログラムコーディネーター)は行政機関の対策に焦点を当て、SDGsに向けた国家・地方レベルの取組及びSDGs進捗に関する基準等に関する研究成果を発表しました。更に、森田香菜子(森林総合研究所主任研究員、UNU-IAS客員リサーチ・フェロー)は移行的変化に向けて研究の果たす役割を含め、優良事例に関する情報の特定・発信の必要性を述べました。蓑島豪(下川町SDGsアンバサダー)は地方公共団体が直面する課題として、地域の状況に沿ったレビュー枠組み・定量化可能な指標の開発等を強調しました。

    モデレータは、本シンポジウムにおいて得られた基調講演や多様な議論からの示唆を反映することにより、本研究プロジェクトが遂行されることを願いパネルディスカッションを総括しました。

  • Dr Bernadia

    (4.5 MB PDF)

    Dr Leena

    (604.2 KB PDF)

    Prof Fujita

    (3.9 MB PDF)

    Ms Masuda

    (1.4 MB PDF)

    Prof Kanie

    (1.3 MB PDF)