日本人大学院生を対象としたアフリカにおけるグローバル人材育成の期待と課題

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  • 2016年2月29日     東京

    2016年2月16日から18日、 「持続可能な開発に向けたアフリカ諸国との学術連携強化に関わる合同シンポジウム」と、その関連会議が開催されました。UNU-IASは2013年より、アフリカにおけるグローバル人材養成(GLTP)を通して、日本人大学院生をアフリカに派遣して研究訓練を行うサポートを行っています。 UNU-IASと日本・アフリカ大学連携ネットワーク(JAAN)により開催された本シンポジウムでは、アフリカで日本人学生を受け入れている大学から4名の指導教員がゲストスピーカーとして登壇し、日本とアフリカの学術研究機関による協働について話し合いました。

    img-GLTP-symposium

    UNU-IASは、文部科学省からの助成を受けて、これまで計8ヶ国(コンゴ、ガーナ、ケニア、マラウィ、セネガル、南アフリカ、ウガンダ、ザンビア)の大学に25名の日本人大学院生を派遣して、その調査研究活動をサポートしてきました。

    初日の合同シンポジウムでは、パネル・ディスカッションが開催され、(1)本プログラム修了者の経験、(2)日本・アフリカの大学間協定促進に関わるJAANの活動、(3)持続可能な開発における知的交流の意義、(4)学術連携の強化策について意見交換を行いました。4名のゲストスピーカーに、日本の大学の博士課程に在籍する本プログラム修了者3名、JAAN関係者2名、日本で持続可能な開発について研究するアフリカ人若手研究者3名の、計12名がパネリストに加わり、これまでの体験や教訓、抱負について話し合いました。会場からは、日本・アフリカ間の学術連携に関心を持つ30名以上の参加者も議論に加わりました。

    翌17日には、 「GLTPフィードバック会議」が開催され、日本とアフリカの本プログラム関係者により、改善点が整理されました。出席者からは、本プログラムが日本人学生の能力開発だけでなくアフリカ諸国の学術的発展に寄与する点が評価された一方で、課題も指摘されました。研究指導に際して日本とアフリカの指導教員同士の連携とコミュニケーションを強化すること、研究成果や共有された経験の情報をさらに発信していくことなどが、今後、日本とアフリカの学術的な交流を促進していくうえので課題として認識されました。

    最終日の18日には、 UNU-IASの関係者が東京農工大学を訪問し、有機材料化学を専門とする本プログラム修了者や指導教員と話し合いました。この研究室訪問を通じて、日本とアフリカの指導教員が連携しながら共同研究を進めていく道筋が示されました。

    一連のイベントの成果は、アフリカにおけるグローバル人材養成の強化に向けた政策提言としてポリシーブリーフとして公表される予定です。