国連大学SDG大学連携プラットフォーム(SDG–UP)第4回ワークショップ開催

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  • 2021年1月28日

    2021年1月27日、国連大学SDG大学連携プラットフォーム(SDG–UP)の第4回ワークショップがオンラインで開催され、28大学から71名の代表者および関係者が出席しました。始めに山口しのぶUNU-IAS所長が、今回紹介される全国各地の大学の取り組みに大きな期待を寄せていると述べました。国際社会において、地球規模の環境問題、持続可能な社会の促進、サステナブルファイナンスなど、SDGs関連項目は喫緊の課題であり、今後、高等教育のSDGs促進の役割がますます重要性を増すことから、まさに本プラットフォームは時機を得た取り組みであることを強調しました。

    今回は15大学が取り組みの紹介を行いました。各大学の発表は大変ユニークで質の高いものであり、また、他大学の取り組みを積極的に学び、刺激を受け、自らの活動に活かし推進していきたいという熱意が感じられました。今回の15大学からの発表内容をカテゴリーごとに以下に要約しました。

    教育カリキュラムの中での取り組み
    ・SDGs入門科目を開設し、全学生を対象とした実践的な科目として開講。
    ・あるテーマに関し大学全体のすべての学部が関わり、機能別にチームを再編して統合。
    ・複数の大学が共同してサスティナビリティ研究プログラムを立ち上げ、環境、貧困、保健・衛生、教育、ガバナンスなどをテーマに各々の大学の強味を生かし、現実的な問題として取り組む。
    ・研究活動とSDGsのマッピングにより、研究者・研究テーマが、どのSDGsの目標と関連しているかを可視化。

    SDGs推進ユニットやプラットフォームを設置
    ・SDGs推進本部を設置し、学長を本部長として、SDGs関連の様々な取り組みを統括。
    ・地域的なSDGsプラットフォームを形成し、学内だけでなく他大学との連携を推進。
    ・SDGsひろばを設置し、SDGsに関するサークルやグループ活動情報をシェアする。

    国際機関との連携
    ・国連・国際機関と連携した教育プログラムの一環で、学生が国際機関のスタッフとしてSDGsを推奨するためのボランティア活動を行う仕組みを構築。
    ・国連・国際機関の職員を輩出する包括プログラムを開設し、国際機関から講師を招き授業を行い、卒業後も長期にわたってキャリア支援を行う。

    自治体、企業との連携
    ・SDGsによるベンチャー企業を作って無電化地帯に電力を供給する。
    ・学部や分野横断の研究チームを作り、企業、自治体と連携し、地元の果物を使って商品を開発し広報および情報発信を行う。
    ・大学と民間企業が連携協定を締結し、学生自らがSDGsに関する製品開発を行い、課題発見や問題解決といった実践的学びを経験。

    その他
    ・大学生が高校を回りSDGsに関する講義やグループワークを実践するキャラバンを開始。
    ・SDGsの取り組みを発信するための冊子を製作して配布。
    ・ペットボトル削減のための、給水機の設置。
    ・SDGsウィークを毎年開催し、その中で、映画祭、オンラインディスカッションを行う。
    ・SDGsかるたの企画製作、またSDGsを使ったカードゲームを通して、SDGsをより身近に感じ、課題の共有や仲間との対話を実感。
    ・インパクトランキングに積極的に取り組む。
    ・SDGsの取り組みを紹介する専用のホームページを立ち上げ、取り組みについて社会に広く発信、他。
    (※各大学の取り組みの詳細については別途ご紹介します)

    最後に、村田俊一関西学院大学総合政策部教授(SDG-UPアドバイザー)は、国際機関在籍中に、SDGsの草案作成タスクフォースに携わった経験に触れ、SDGsの神髄は、経済、社会、環境、ガバナンスの4つの次元の融合を通じて、課題解決への求心力を強めていく事であると強調しました。また、SDGsの最重要テーマである目標1「貧困をなくそう」に関するトピックが大学の取り組みとして表に出てきていない点を指摘し、現在のコロナ禍において、貧困に直面している人々国内外に10億以上存在することに言及し、SDGsに関する研究および人材育成を考えていく必要があると力説しました。そして、経済発展重視の偏重主義により多大な格差を生み出してきた結果として、経済格差が拡大してきたという現実を直視し、貧困層をこれ以上増やさない覚悟が必要であると強調しました。村田教授は、バランスのとれた経済発展を促進するためには、質の高い教養と専門性を身に付けた人材を世に送り出すことが重要であり、その若い世代の未来をより明るくするために、学者として、また教育者としての責任のもと、多様な機会を提供することが責務であると述べました。そして最後に、本プラットフォームの参加大学間で経験を共有しつつ、質の高い教養を追求するSDGsと専門性の融合を念頭に、シンクタンクとしての機能も備えた環境づくりについて考えていきたいと強調しました。

    参加大学 28校(アルファベット順)

    千葉商科大学
    愛媛大学
    広島大学
    北海道大学
    国際基督教大学
    国際大学
    神奈川大学
    金沢大学
    慶應義塾大学
    関西学院大学
    北九州市立大学
    九州大学
    九州産業大学
    ノートルダム清心女子大学
    奈良教育大学
    大阪大学
    大阪医科薬科大学
    龍谷大学
    創価大学
    上智大学
    東海大学
    東京都市大学
    東京工業大学
    東京外国語大学
    東京理科大学
    東洋大学
    筑波大学
    東京大学