リーダーと専門家が、グリーン経済への転換およびCOVID-19からのより良い復興を議論

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  • 2020年7月14日     ニューヨーク


    UNU-IASは、持続可能な開発目標に関するハイレベル政治フォーラム2020(HLPF2020)において、2020年7月10日にサイド・イベントを開催しました。本イベントでは、化石燃料からの脱却がもたらす社会的・経済的な影響と、アフリカにおける資源の多様化および持続可能な開発の可能性について議論を行いました。また、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)がグリーン経済への転換におよぼす影響、パンデミック(感染病の世界的流行)後の「より良い復興」を目指す取り組みの中で気候変動を考えることが話し合われました。さらに、地域ごとの展望、日本を含む開発先進国の政策も取り上げられました。

    本イベントは、国連大学アフリカ自然資源研究所(UNU-INRA)国連大学環境・人間の安全保障研究所(UNU-EHS)国連アフリカ経済委員会(UN-ECA)国連経済社会局(UN-DESA)との共催で行われました。

    基調メッセージとして、ガーナ共和国のアクェム・アブアカ王オサジェフォ・ アモアティア・オフォリ・ぺネ陛下のメッセージを、アクェム・ドゥエナセ(コミュニティ)のチーフ、オサバリマ・ウス・バフィ・アボアジ三世が代読しました。メッセージでは、アフリカにおける持続可能な開発を推進し、貧困、健康、福祉に関わる問題を解決するためには、安価かつクリーンなエネルギーを利用可能にすることに優先的に取り組まなくてはならないと強調されました。炭化水素由来の資産が「座礁」することを避けるためには、アフリカの政策決定者たちは、工業化を進めるためにこれらの資産を持続可能な方法で使う方法を見つけ出す必要があります。

    小泉進次郎環境大臣は、ビデオ・メッセージによって、今後開発途上国の脱炭素化を支援するという、日本政府の新たな方針を明らかにしました。本イベント開始のわずか数時間前に公表されたばかりであったこの政策方針は、開発途上国への石炭火力発電の輸出に対する規制を厳しくすることを明記するものです。メッセージの中で小泉大臣は、「経済における脱炭素化は、経費の面から考えるべきではなく、社会的・経済的な価値をもたらす手段として捉えるべきである」と強調しました。

    山口しのぶUNU-IAS所長は、COVID-19からの「より良い復興」には、二酸化炭素排出量削減を実現するための計画を組み込み、持続可能な開発を目指す様々な分野での試みを推進する必要があることを強調しました。また、脱炭素化には費用がかかるものの、気候変動に関連するこの野心的な政策は、社会的・経済的な利益を含む、多くの分野で新たな機会をもたらすものとなるだろうと述べました。その上で、データに基づいた根拠ある知識を政策決定者に提供することによって、総合型手法で問題解決を目指す取り組みを支援するという、国連大学の比類ない役割を明示しました。

    ジータ・セベスバリUNU-EHS所長代理は、脱炭素化の実現によって生み出されることの一つに、グリーン・ジョブ(持続可能かつ経済的に存続可能な雇用)の機会が創出されることを挙げ、革新的な研究と実際の変化とが、炭素排出量実質ゼロを目指す持続可能な行動を支援していくべきであるとの見解を示しました。パネリストたちは、化石燃料の使用からのグリーンな転換という試練に直面して、今後、脱炭素に向けての方針は、アフリカの人々の生活の向上を何よりもまず優先的に考慮していかなくてはならないと述べました。

    本イベントには、上記登壇者の他に、ファティマ・デントン UNU-INRA所長、ジェームス・ムロンベズィ UN-ECAアフリカ気候政策センター コーディネーター、高田実 UN-DESAチームリーダー、 ジャン・ポール・アダム UN-ECA技術・気候変動・自然資源管理所長が登壇しました。