『Science』への書簡で脆弱な人々に資する「損失と損害」気候基金創設を求める

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  • 2023年1月30日

    気候変動に影響を受けた国々のための新たな基金において、いかに脆弱な立場の人々のアクセスを確保することができるかを論じた書簡が、学術誌『Science』に掲載されました。グローバルな「損失と損害」基金の設立を謳う画期的な合意がなされたことは、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催された第27回気候変動枠組条約締約国会議(COP27)の主要な成果の一つです。

    本書簡において、タマサート大学のバーラット・ダーヒヤ所長とUNU-IASのマへスティ・オキタサリコンサルタントは、「『損失と損害』基金がそれを最も必要とする人々に役立てられるかどうかが、公平で公正な資金提供のための試金石となるでしょう。」と語りました。

    要旨

    • 開発途上国に住む人々は気候変動の影響を特に受けやすく、貧困ラインを下回る生活を送っている人々は、熱帯低気圧、河川の洪水、地滑りなどの極端な気象災害によって、より裕福なコミュニティと比べて不釣り合いに苦しんでいます。
    • 新しい資金提供制度の運用を担当する委員会は、最も脆弱で影響を被る立場の人々によるこの重要な財政支援へのアクセスを確保しなければなりません。審議では、包摂的な資金提供に焦点が当てられるべきです。
    • 脆弱な立場の人々の社会的保護を追跡するデータベースなど、柔軟な財政ガバナンス設計は不平等を是正するのに役立ちます。また、積極的な対策によってインターネットへのアクセスがないコミュニティにも資金を確実に届けることができるでしょう。
    • 基金には、気候変動に強い代替的な生計手段を支援するための長期的な資金提供も含める必要があります。

    本書簡は、2022年12月22日『Science』378巻6626号に掲載されました。本文(英語)は、『Science』のウェブサイト (要登録)からご利用いただけます。 また、国連大学のウェブマガジンOur Worldにも掲載されています。