文化としての自然

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  • 2024年1月19日

    本論文では文化と自然とのつながりを測定、把握するための様々な方法や文化と自然のつながりに関する情報やデータを入手する上での課題について考察しています。文化と自然のつながりはハイコンテクストでありそれを説明するための前提となる知識が多いため、データを入手する上での課題が存在しています。また本論文では、文化としての自然(Nature as Culture)や自然との一体化(One with Nature)と呼ばれる生物と文化のつながりを測る優良な取り組みについても紹介しています。本論文において著者は、特に生物多様性が減少している中で自然の保護を進めるに当たり、人間的な側面を理解する必要があると強調しています。

    生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)が最近実施したバリューアセスメントにおいても、様々な価値観が人々の自然との関わりに与える影響について取り上げています。本論文は、自然と文化の相互関連性とそれがどのように自然の保全とウェルビーイングへ作用するか調査した文献のレビューより得た知見をまとめています。また、文化としての自然を概念化した上で一般化する様々な方法に焦点を当てることを試み、自然の未来に関する研究のシナリオモデリングにも使用可能な優良な指標の特定も行っています。

    論文を通して著者は、本分野におけるさらなる研究の必要性を強調しています。生物多様性の保全など持続可能性に関する政策目標の運用計画に本概念、文化としての自然をより強固に組み込むためには、生態系、種の種類、国を越えて多様な資源を取り込む方法が必要です。また、持続可能な実践を促進するための本質的、手段的および関係的価値を理解する上で不可欠な現地調査、一次データの収集も重要です。

    論文内の文献レビューはオランダ環境評価庁(PBL)が主導するネイチャーズ・フューチャーズ・フレームワークに関するプロジェクトにおいて実施されたものです。本論文は国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)スニータ・スブラマニアン研究員、西麻衣子研究員によって執筆されました。