2014年12月1日 シドニー
国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)におけるレジリエンス指標に関するツールキットをとりまとめました。このツールキットは2014年11月17日、オーストラリアのシドニーで開催された国際自然保護連合(IUCN)などが主催する第6回世界国立公園会議のサイドイベントにて発表されました。
レジリエンス指標は、これまでUNU-IASがバイオバーシティ・インターナショナルとともに開発してきたもので、SEPLSに関するレジリエンス(回復力)を、生態系、農業、文化、社会経済的な側面からコミュニティーレベルで評価することを目的としています。本ツールキットは、この指標を用いて実際にSEPLSのレジリエンス評価を行う際のマニュアルとして作成されたものです。ツールキットには、20の質的・量的指標の解説とともに、SEPLSの概念の説明や、ワークショップ開催の手順や進め方のヒント、フィジー、ケニア、ナミビア、トルコなどで行われた評価の事例なども紹介されています。
ツールキットの作成は、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)の協力活動の一環として、UNU-IAS国際SATOYAMAイニシアティブ(ISI)プロジェクト、バイオバーシティ・インターナショナル、国連開発計画SATOYAMAイニシアティブ推進プログラム(UNDP-COMDEKS)、地球環境戦略研究機関(IGES)が共同で実施しました。なお、本プロジェクトでは、これまでの世界各地の現地調査および指標の適用事例に基づき、指標の改訂も行っています。
本ツールキットを活用し、コミュニティーの住民自らがランドスケープやシースケープのレジリエンスを評価することにより、SEPLSの重要性やその保全に対する理解が進み、地域の政策決定にもそれらが反映されることが期待されます。
なお、レジリエンス指標プロジェクトやツールキット、IPSIの協力活動の詳細については、IPSIウェブサイトをご参照いただくか、市川(isi@unu.edu)までご連絡ください。