パネルセッションにてアジア太平洋地域における気候移住と教育へのアクセスについて議論

, ,

ニュース
  • 2022年4月30日     ミネアポリス

    2022年4月21日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、第66回比較国際教育学会(CIES 2022)において、アジア太平洋地域の気候避難民の教育と生涯学習へのアクセスについて議論するパネルセッションを共催しました。本セッションでは、ユネスコのグローバルな取り組みの一環として、気候移住が教育を受ける権利に与える影響を調査した地域研究の結果について議論が交わされました。

    開会挨拶で、ユネスコのファリアル・カーン プログラム・スペシャリストは、暴力紛争よりも気候変動が原因で家を離れることを余儀なくされた人の方が多いにも関わらず、気候避難民はしばしば教育や医療などの基本的なサービスへのアクセスを欠いている、と強調しました。また、既に脆弱な立場に置かれている気候避難民が学習面で混乱に陥ることによって、社会的な統合および長期的な祖国再生を促進する手段を奪われてしまうことを指摘しました。カーン博士は、ユネスコの本イニシアチブは、気候変動に起因する教育を受ける権利への障壁を調査し、最終的にはすべての避難民が確実に質の高い教育を受けられるよう、国家の受け入れ態勢を改善することを目的としている、と説明しました。

    UNU-IASの野口扶美子研究員は、インドのケーススタディに基づき、気候変動によって避難を余儀なくされた学習者が、頻繁な移住、経済的不安定さの増大、学習資源へのアクセス不可能性、破壊された学校インフラなど、多くの課題に直面していることを紹介しました。また、さまざまな地方自治体、教師、NGOによる介入が行われてはいるものの、気候避難民のニーズに対処するためには、早急な教育政策と実践の垂直的および水平的な調整が求められていることを強調しました。

    UNU-IASのパク ジョンウィー アカデミック・プログラムオフィサーは、インドネシアのケーススタディについて概説し、包摂的な教育へのアクセスはかなり改善されたものの、都市部と農村部との間の学習成果や中学校の卒業率における格差という課題はいまだ克服されていない、と述べました。その上で、気候避難者である子ども、若者、大人、その中でも特に既に脆弱性を負わされている学習者たち、すなわち少女、女性、先住民、第二世代の若者たちなどにとって、教育システムのレジリエンス(回復力)強化と学習継続性の確保が何よりも重要であることを強調しました。

    UNU-IASのイン シュエン ファン研究員は、ベトナムでの研究結果について報告し、同国の気候避難民へのタイムリーで質の高い教育支援に対するいくつかの課題を特定しました。具体的には、復興活動のための国際寄付や国際NGOへの依存や、避難民の増加および継続的な流入が原因となっている受け入れ能力の不足などが挙げられます。イン博士は、気候変動に対応した教育システムの適応能力を強化することの必要性を強調し、教育部門が災害リスク軽減と気候変動対策の両方に組み込まれるべきであることを指摘しました。

    UNU-IASのフィリップ・ヴォーター コンサルタントは、小島嶼開発途上国(SIDS)のツバルのケーススタディの結果を発表し、同国における最大の移住の傾向は、国際移住ではなく都市化であることを指摘しました。ヴォーター博士は、ツバルでは熱帯暴風雨に対応するべく設計された学校システムが発達しており、全国的にオンライン学習のためのIT環境も整っていたが、一方で、教育への主要な障壁の1つは、非常に急速な都市化によるインフラ不足であったこと、つまりそれも部分的に気候変動に起因していたこと、を説明しました。そして、気候に配慮した都市計画は、すべての住民に教育へのアクセスを確保するために不可欠であると結論付けました。

    ユネスコのロッラ・ムネ プログラム・スペシャリストは、パネルディスカッションおよび質疑応答で司会を務め、これらのケーススタディがグローバルな知見にどのように寄与したのかに焦点を当てました。

    総括として、カーン博士は、ステークホルダー間の合意形成は重要な次のステップであり、今回発表されたケーススタディは、この問題に対処するためのグローバルな取り組みに資するものであると述べました。

    本イベントは、ユネスコの協力のもとで開催されました。