原発事故後の長期避難に関する政策提言をポリシーブリーフにて発表

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  • 2015年4月14日     東京

    この度、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)が刊行したUNU-IAS ポリシーブリーフシリーズの第1号にて、2011年3月の東日本大震災と福島第一原発事故後に長期化する避難の解決に向けての政策提言が福島での現地調査などに基づいて発表されました。調査を企画・実施したモシニャガ アンナ氏(UNU-IAS リサーチアソシエイト)が執筆した長期避難問題の解決に向けて:恒久的解決に関する福島からの教訓と題された本ポリシーブリーフは、原発事故後の福島の例をもとに長期化する避難状況が、現存の政策や法的・制度的枠組みに対して投げかける課題を取り上げ、透明性のある政策策定、情報提供そして避難者との対話の重要性などを強調しています。

    要旨

    避難問題に対して恒久的解決策を見いだすのは容易なことではない。深刻な原子力災害の場合、長期にわたって地域が居住するのに安全でなくなるため、その間に変化する避難者のニーズや能力、脆弱性、優先順位に合わせて、暫定的または代替的な解決策が必要である。既存の国際文書にて極めて重要な指針が提示されているが、その妥当性を広めるには、長期避難状況への理解を深めることが欠かせない。

    提言:

    • 政策、法律、制度を継続的に見直すことで、恒久的解決策を見いだせる環境を体系的に確立する必要がある。既存の枠組みの断片的な調整ではなく、包括的な改革が必要になる場合も多い。
    • 社会的影響と精神的影響への対応も、物理的インフラの(再)建設や環境復旧と同様に重要である。
    • 避難者が当事者意識を持って復興プロセスに主体的に取り組めるようにすることが不可欠である。

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    本ポリシーブリーフは、2011年3月11日に発生した東日本大震災と津波、原発事故が人々と社会に与えた影響に着目する取り組みである、国連大学サステイナビリティ高等研究所のFUKUSHIMAグローバルコミュニケーション(FGC)事業のために実施された調査の成果です。