2022年8月22日 オンライン
2022年8月12日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、国際青少年デーを記念して若者が主導する生物多様性保全活動に焦点を当てたオンラインイベントを開催しました。「若者の芸術・行動・視点を通じた生物多様性保全」と題した本ウェビナーには、世界23カ国から参加者が集まり、生物多様性の保全と持続可能な開発の推進に向けて人々に行動を呼びかけている若者たちが自身らの取り組みについて議論しました。
セッションの冒頭、UNU-IASのジョンウィー・パク アカデミック・プログラム・オフィサーは、現在、若者世代の人口が史上最大となっていることを指摘しました(世界人口の15.5%)。また、2030年までに持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、若者がその潜在能力を最大限に発揮できるような環境を整えることが重要であると述べました。
環境省環境教育推進室の河村玲央 室長は、若者のエンパワーメントが持続可能な開発のための教育(ESD)推進の核であること強調し、グローバルRCEネットワークのようなESDに向けたパートナーシップへの若者の参加と創造的な解決策は、グローバル目標の推進に不可欠であると述べました。
基調講演では、環境エンジニアかつ気候変動コミュニケーターであるダリア・チェカルスカイア氏が、生物多様性の喪失を引き起こしているグローバルな食糧システムの役割について学び、ガーデニングに取り組み始めたことを話しました。また、カーボン・ガーデニング、再生ガーデニング、パーマカルチャー(永続可能な農業および文化)など、生物多様性を促進し、炭素を吸収するための自然を基盤とした実践について紹介しました。
続いての基調講演では、RCEザリアのアーマド・ムフタール氏がナイジェリアのザリアにおける絶滅危惧種であるリミ(コパック)ツリーの保全プロジェクトについて発表しました。本プロジェクトでは、植生の変化や絶滅危惧種の樹木属をモニタリングするための地理空間データベースを作成し、若者たちを位置情報特定活動に参加させることに成功しました。植物保護の重要性に対する一般の認識が低いなどの課題がありましたが、本プロジェクトでは、若者と地域社会の双方が絶滅危惧種保護の価値を理解することで、より積極的に保全活動を受け入れるようになることが分かりました。
2021 年若者の気候アート・チャレンジの受賞者であるRCE横浜のリャン・サベラ・カスティーヨ氏は、絶滅の危機に瀕している鳥たちや環境悪化の影響の描写など、地元の生物多様性にインスピレーションを得た自身のアート作品を紹介しました。アーティストおよび環境活動家であるエリカ・ロータス氏は、循環における相互のつながりを表現した作品を紹介し、環境問題を芸術で表現することを通して人々を結びつけ、関心を広げたいと述べました。
UNU-IASのジェローム・シラ 研究員とサワロス・タナポーンサンス 博士研究員によるワークショップでは、生物多様性の喪失によって影響を受ける場所や種に注目し、それらを保全するために地域社会が取ることのできる行動に焦点を当てました。
2022年若者の生物多様性アート・チャレンジが作品募集を開始したことが発表され、世界各国からの応募が呼びかけられました。本チャレンジは、若者が芸術を通じて生物多様性の保全に向けた活動を人々に呼びかけるためのプラットフォームになります。応募締切は2022年9月30日です。