高等教育サステイナビリティ・イニシアティブ(HESI)特別イベントにて、未来の構築のための高等教育の役割を議論

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  • 2020年7月13日     ニューヨーク

    モナ・ユール国連経済社会理事会議長

    2020年7月8日、UNU-IASは、国連持続可能な開発に関する国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)における6つの特別イベントのうちの一つとなる、高等教育サステイナビリティ・イニシアティブ (HESI)特別イベントを共催しました。本特別イベントでは、持続可能な開発と復興を支えるために、高等教育をどのように再構築していけば良いのか、また、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界的流行)がどのように高等教育機関に影響を与えているかが取り上げられました。高等教育は今、より包摂的かつ公正な方法で再構築される契機を得ており、その再構築こそが喫緊の課題であると言えるでしょう。

    ステファニア・ジャンニーニ国連教育科学文化機関(UNESCO)教育担当事務局長補は、パンデミックが世界中でいかに社会における格差を拡大したかを説明しました。さらに、この格差の是正に包摂的かつ公正に取り組むためには、高等教育が積極的に関わることが必要であることを強調しました。また、研究・研修・教育過程において、科学および科学分野での協力関係が必要とされることへ、明確な注意喚起を行いました。

    モナ・ユール国連経済社会理事会議長は、質の高い教育が、格差を是正する上で果たすことのできる役割に焦点を当てました。高等教育を受ける機会が平等にもたらされることが重要であると強調され、その実現には、少数民族や障がい者などの周辺化(社会の中心から遠ざけられる)された集団に属する生徒が依然多くの課題に直面している現状が指摘されました。ユール氏は、COVID-19が特に発展途上国でジェンダー格差を悪化させる傾向があることに触れ、社会の中で誰一人として取り残されることがないよう、奨学金制度など、対象に的を絞った対策が極めて重要となると述べました。

    エリオット・ハリス国連経済社会局(UN-DESA)経済開発担当事務次長補・チーフ・エコノミスト は、このパンデミックが、より良い復興に向けたかつてない機会をもたらしていることを指摘しました。しかし、もし今回のCOVID-19への対応がその場しのぎのものに過ぎず、十分な資金が提供されないのであれば、結果としてパンデミックは長期的な問題となり、過去数十年に実現された発展を台無しにするであろうと警告しました。

    サム・バラットHESI議長/国連環境計画 (UNEP)ユース・教育・アドボカシー長官は、高等教育機関が見解を述べ、その影響力を高め、また、それによって高等教育機関が国連持続可能な開発目標(SDGs)に大きく貢献する存在であると認識されるに至ったことが極めて重要であったと強調しました。地球科学学科での活動に限定することなく、大学全体で二酸化炭素排出量削減を目指す新たな習慣を作り出し、学生たちがより良い選択をできるように彼らの意識を変えることで、大学はSDGs達成に向けて貴重な貢献をすることが可能となります。

    ヒリグジ・フォンテラント国際大学協会事務総長・国際大学事務局長による基調講演では、COVID-19がどのように高等教育機関に影響を与えてきたかという点に着目しながら、オンライン授業への移行に伴うキャンパスの閉鎖、科学技術の活用、教授法の課題が議論されました。私たちが未来に向け発展させたいと願う価値とは何かを再考することにより、教育の機会がより多くもたらされてきています。これは、人々がより広く平等に教育を受けることを可能とする、新たな考え方の枠組みへの転換の一環と捉えられます。その転換によって、学生は地域性と社会性を持ちながら世界的な課題に取り組むことができるようになるでしょう。

    ジェフリー・サックス持続可能な開発ソリューション・ネットワーク代表/コロンビア大学持続可能な開発センター所長は、社会に既に存在していた課題を、COVID-19がどのように悪化させたかについて議論しました。既存の課題としては、大容量通信ができる高性能なインターネット接続サービスを使用できず、情報技術を使いこないがために、教育や医療を受ける機会が奪われるという情報格差(デジタル・ディバイド)が挙げられました。課題の解決には国際連携が必要であり、その連携強化には大学間の繋がりが極めて重要とされます。教育の本質もまた大きな課題です。研究と教育を問題解決や学際的なものへ方向付けるとともに、高等教育における価値を再考する必要があります。サックス教授は、オンラインとマルチサイト学習を織り混ぜることによって、高等教育におけるデジタル技術の活用能力を構築し得ると述べました。

    人類が直面している深刻な問題の一つであるCOVID-19に対し、高等教育機関には、より耐久性のある持続可能な社会を構築するという重大な責任があります。ここでの重要な問いは、この地球を救うために最終的に尽力することとなる若者たちを、どのようにして真のリーダーに育てることができるか、ということです。大学は、学生たちに寄り添い、彼らが持つ可能性を引き出しながら、世界中で持続可能な開発を促進する必要があります。今回のセッションにより、教育システムと持続可能性に関する教育を根本から変革すること、学際的思考の価値を重視すること、そして学部間の壁を打破することの必要性が明確になりました。私たちはまた、これから先の困難を確実に乗り越えるために、自然、市民、共感しあうことの価値を再考しなければなりません。

    録画映像はこちらからオンラインでご視聴いただけます。