地方政府のCOVID-19克服とSDGsの地域導入に向けた優先課題に関するレポート&ビデオを公開

, ,

ニュース
  • 2021年10月7日     東京

    国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、各国の地方・地域政府がいかにCOVID-19のパンデミックの深刻な影響を克服し、強靭で持続可能な回復を実現し得るのか、を分析したレポートを公開しました。都市・自治体連合アジア太平洋支部(UCLG ASPAC)とのパートナーシップにより作成された本レポートCOVID-19 and Progress on Subnational Localisation of the SDGs』は、世界的なパンデミックにおいて、地方政府が直面している課題と機会に関する知見を提供しています。

    本レポートでは、COVID-19が及ぼした地方政府のSDGsへの取り組みに対する影響や広範な社会経済的影響について分析しています。また、パンデミックに対する地方政府の対応と、短期的・中期的・長期的な施策の優先事項について分析しています。調査は、2021年2月にインドネシア、マレーシア、フィリピンの52の地方・地域政府に対して行われました。

    著者はUNU-IASのマヘスティ・オキタサリリサーチ・アソシエイト、リチャ・カンドパルJSPS-UNUポスドク特別研究員、ウッパラット・コーワタナサクンリサーチフェローでUNU-IASの持続可能な開発のためのガバナンスプロジェクトの一環として発表されました。

     

     

    研究成果

    主な研究結果は次のとおりです。

    • 地方政府は、COVID-19危機への対応において重要な役割を果たすために、レベル・分野横断的で垂直的・水平的な調整メカニズムが重要だと認識している。
    • COVID-19に関わる社会経済的危機は地方政府の財政に悪影響を及ぼしてきたが、短期・中期の財政状況に対する深刻度の認識は、都市のタイプ(規模等)によって差異がある。
    • 地方政府は、COVID-19危機におけるSDGsのローカライゼーションの主要な課題として、健康上の危機の克服優先移すことを強調している
    • SDG 1(貧困をなくそう)、SDG 3(すべての人に健康と福祉を)、SDG 8(働きがいも経済成長も)が、実施の優先度が高い分野となっている。

     

    政策提言

    このレポートは、COVID-19危機の影響の克服とSDGsローカライゼーションの加速に取り組む国家、地方政府およびステークホルダーに向けて優先課題を明らかにしました。主要な提言は次のとおりです。

    • パンデミックの影響に対応するための多様なレベルの分野横断的な調整、地方政府間および非政府の主体との水平的な協力、COVID-19による様々な影響に対応する国家の回復戦略を通じ、より良い回復のための一貫した政策とガバナンスを確保する
    • 地方政府レベルで不均衡改善し、財政の安定性を回復する財政管理施策や手段を導入し、透明性と説明責任を向上させ、多年にわたるグリーンリカバリーに対する資金調達の仕組みを確立することにより、回復力があり、包摂的で、グリーンな地方財政を追求する
    • SDGsやその他の国際的な枠組を内在化して短期の対応を長期的な目標に整合させ、地方政府の戦略を支えるSDGs関連のアプローチを採用し、業務のデジタル化を加速することにより、SDGsのローカライゼーションを加速し、包摂的、持続可能で強靭な回復を実現する

     

    このレポートはUNU Collectionsでダウンロードできます。