COP21にて、低炭素技術移転の普及と拡散に向けた取り組みを共有

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  • 2016年1月15日     パリ

    2015年12月3日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)において、サイド・イベント「低炭素技術移転のための国際連携」を開催しました。フランス、ドイツ、英国、日本の代表者5名によるプレゼンテーションを中心に、低炭素技術移転に関する現状を把握するとともに、COP21後の新たな枠組みの方向性について見識を共有しました。

    最初の発表では、クリストファー・ドール(UNU-IASリサーチフェロー)は、現在、日本や欧米諸国など先進国が低炭素技術・革新的技術を所有していると説明しました。低炭素技術の途上国への普及・拡散が二酸化炭素排出削減への重要な実施策であり、技術の開発、環境整備などの政策実施が重要であると述べました。また持続可能な開発における技術移転は、機材、キャパシティ、技術革新キャパシティが場所やアプリケーションによって異なることを指摘し、社会・技術システムを考慮することで、どこで行動が必要とされているかを特定するために役にたつと強調しました。

    服部崇(国際エネルギー機関(IEA)環境・気候変動ユニット長)は、経済開発およびエネルギーへのアクセスをサポートしながらCOP21がいかにしてエネルギーセクターの技術革新を低炭素型にできるかについて述べ、経済開発、エネルギーアクセスの向上を踏まえエネルギーセクターにおける大幅な二酸化炭素排出量削減の必要性を強調しました。コスト、効果的アクションを通して、2020年頃を目途に世界的な排出量のティッピングポイントを迎える見込みであることを指摘し、パリ協定においては長期的目標、5年周期の見直し、そしてトラッキングフレームワークを通してエネルギーセクターにアプローチすることが重要であると述べ、エネルギー技術移転は技術革新と密接に行うことが効果的であると強調しました。

    川又孝太郎(在ドイツ連邦共和国日本大使館参事官)は、日本が推進するL2-Techと二国間クレジット制度(JCM)の2つのイニシアチブを紹介しました。規制クリアタイプの基準の限界を踏まえ、ベストの水準を定期的に更新し継続的なインセンティブを生じさせるL2-Techに焦点を当てた発表を行いました。優良事例として、コジェネレーションシステム、空気洗浄機などを紹介しました。また、日本が推進するJCMについて、これまでに15の国々と覚書を結び、現在7つのプロジェクトが正式に登録されており、44のプロジェクトが支援されていると述べました。

    ドイツ新気候研究所のマルクス・ヘイグマン氏は、ペルーにおけるバイオマス廃棄物の状況、国内における適切な緩和行動(NAMAs)、バイオマス廃棄物分野における環境整備、またそれに対する資金枠組みについて発表を行いました。環境整備ついて、国・地域ごとに異なる枠組みを採用することが必要であるが、国際的な優良事例の経験などを参考にすることが効果的であると述べました。またプロジェクトを実施する上で、適した資金枠組みの設計がとくに重要になるが、公共と民間の資金バランスをとることが必要であると強調しました。

    最後に、ラドバウンド大学のヘレンデ・コニック氏が3つのプレゼンテーションの総括を行い、低炭素技術移転について1)移転対象国のキャパシティとその国や地域における技術革新の必要性、2)現存する技術についての知識差、さらに技術移転を行う段階で協力から競争に変化する可能性について、COP21の議論に組み込まれるべきであると強調しました。

  • クリストファー・ドール 発表資料

    (2.4 MB PDF)

    服部崇 発表資料

    (3.6 MB PDF)

    川又孝太郎 発表資料

    (4.4 MB PDF)

    マルクス・ヘイグマン 発表資料

    (2.7 MB PDF)