里地里山の持続的な発展における伝統的知識の果たすべき役割

, ,

ニュース
  • 2014年5月16日     石川県小松市

    5月1日から3日の3日間、里地里山の伝統的な地域の知識に関わる国際会議『里山・社会生態学的生産ランドスケープにおける伝統的な知恵を活かした持続可能な発展』が開催されました。この会議は、金沢大学地域創造学類およびカナダ天然資源森林局の主催、農林水産省、環境省、石川県、小松市の後援および、国連大学サステイナビリティ高等研究所、国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット、京都大学大学院地球環境学堂、筑波大学大学院生命環境科学研究科生命科学専攻の協力により実施されました。

    里山やその他の社会生態学的な生産環境において、伝統的な地域の知識や知恵、慣習が、生物多様性の保全と自然資源の持続的な利用に向けて大きな役割を担うことが、現在、国際的に注目されています。今回の国際会議は、伝統的知識と科学的知識の交換や相乗効果の可能性に光をあて、社会学、農学、林学的アプローチにより、伝統的な知識と科学と政策をつなぐことを目的に開催されました。

    武内和彦上級副学長(国連大学)による基調講演では、里地里山の持続的な発展における伝統的知識の果たすべき役割の重要性が強調されるとともに、里山イニシアティブ(IPSI)を始めとし国連大学が実施している研究内容が示されました。続くセッションは、「伝統的な知恵と科学政策の接点」、「農業の生物多様性と伝統的な知恵」、「森林の生物多様性と伝統的な知恵」、「SEPLS の管理」から構成され、国内外の研究者や政策立案者、国際機関の関係者18名によって、カナダ、ヨーロッパ、オセアニア、石川県能登半島を含むアジアにおける研究発表および事例紹介が行われました。なお、1日目と2日目は一般公開され、一般市民を含む約120名の参加があり、地域的な政策立案者との対話も行われました。

    非公開のファイナルセッションは3日目に行われ、伝統的な知恵とローカルガバナンスに関わる国内事例が3名の研究者によって紹介されました。また、科学者による政策提言に向けた文書案に関する議論が行われました。本国際会議で議論された内容は、生物多様性条約(CBD)や、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)、食料農業植物遺伝資源条約(ITPGR)などによる国際的な意思決定プロセスに貢献することが期待されています。

    なお、本国際会議は、経済協力開発機構(OECD)による補助を受け、平成25年度環境省環境研究総合推進費1-1303「生態系サービスのシナジーとトレードオフ評価とローカルガバナンスの構築」(研究代表:齊藤修・国連大学)の研究の一環として行われました。