2020年12月24日
2020年12月15日、UNU-IASが設立したSDG大学連携プラットフォーム(SDG–UP)の第3回ワークショップが、実際の会場参加とオンライン参加を組み合わせる形で開催され、28大学から54名の代表者および関係者が出席しました。今回は13大学が発表を行いました。
冒頭、山口しのぶUNU-IAS所長が、各大学の取り組み紹介への期待を述べました。また、同日夜に行われる国連のHigher Education Sustainability Initiative(HESI)の年次会合においては、国連大学と日本の28大学の連携による様々なSDG-UPの活動について報告予定であり、国際社会での日本の大学の認知度の向上に努めることを強調しました。
その後、13大学が取り組みの紹介を行いました。日本の大学が社会の重要な行動主体としてSDGsに対する意識を啓発し、社会課題解決のために行動すべきであるという決意のもと、持続可能な社会の発展に貢献する人材育成への熱意が強調された2時間半のセッションとなりました。具体的な取り組みを以下に要約しました。(※各大学の取り組みの詳細については別途)
学内にSDGsを推進するための連携室を設け、自治体、企業、他大学と連携し、教育プログラムおよび学外での啓蒙活動を実施している事例や、教育カリキュラム全体でSDGsに取り組み、シラバスや報告書の目次、または研究室自体SDGsの該当目標を表記し、学生と教員が共有している事例が提示されました。また、SDG関連の記録映画の視聴やテーマごとのディスカッション、企業インターンシップ、サマーキャンプなどを学生がSDGに触れる機会を多様に提供している取り組みが多く紹介されました。大学によっては複数の学部、研究所が連携して実施されているSDGs教育の実践や、専門のウェブページを設け、カリキュラム、共同研究、協働プロジェクトの取り組み、イベント情報などを掲載する活動なども共有されました。また、積極的にインパクトランキングに参加している様子など各大学の真剣な取り組みから学ぶことが多かったとの意見も見受けられました。加えて、SDGsとソーシャルビジネスを教育連携で活用する事業や、実際にSDGsを事業化し、株式会社組織を作って資金を循環している事例も披露されました。
最後に、本プラットフォームのアドバイザーである村田俊一関西学院大学総合政策部教授は、学内でSDGsに係わる社会貢献活動を推進することにより、ボトムアップの組織変革への進化が確認できていることが高く評価できる点、また、一般教養の基礎科目において、SDGs全体を俯瞰できるような科目を必修化することの重要性を強調しました。また、今回の発表の中で、SDGs目標1の貧困はSDGsの最重要テーマであるにも関わらず、あまり触れられなかった点を指摘し、国内外における貧困格差、都市や農村の貧困問題なども身近な問題として、大学の社会貢献活動や研究活動の中で力を入れていく必要があると述べました。大学は、社会に役立つ社会のチェンジエージェント(変革の推進者)を育てるという大きな役割があるということを再認識し、今後更なるカリキュラム改革、社会貢献活動プログラムの改正に尽力していく重要性を述べ、ワークショップを締めくくりました。
参加大学 28校(アルファベット順)
千葉商科大学
愛媛大学
広島大学
北海道大学
国際基督教大学
国際大学
神奈川大学
金沢大学
慶應義塾大学
関西学院大学
北九州市立大学
九州大学
九州産業大学
ノートルダム清心女子大学
奈良教育大学
大阪大学
大阪医科薬科大学
龍谷大学
創価大学
上智大学
東海大学
東京都市大学
東京工業大学
東京外国語大学
東京理科大学
東洋大学
筑波大学
東京大学