2019年2月18日 東京
UNU-IASは、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)とともに共催セミナー 「SDGsへの挑戦 プラスチックごみ問題の解決に向けて」を1月25日に開催しました。セミナーでは、プラスチックごみ問題の現状や、解決に向けた具体的な方策について発表や議論が行われました。
基調講演で登壇した共同通信の井田徹治氏は、世界的なプラスチックごみの問題は、貧困の問題とも関連していて、環境とともに悪化していると説明しました。さらに、90年代から問題が指摘されてきた一方で、大量生産、大量消費のライフスタイルが依然として続いていること、日本ではプラスチックごみの多くがサーマルリサイクルとして燃やされていることが大きな問題であると指摘しました。さらに、アジア諸国で強まる規制の動きを紹介し、パリ協定やSDGsの達成を目指すためには、政策やライフスタイルの転換が必要であり、日本でも規制と経済的手法を組み合わせて問題に取り組む必要性を強く訴えました。
続いて登壇した特定非営利活動法人宮古島海の環境ネットワーク代表理事の春川淳氏は、ボランティアとともに団体が行う海岸清掃について説明し、焼却炉の容量を超える速さでごみが漂着している現状を報告しました。またボランティアが回収できない高圧ガスボンベや注射器といった処理困難物が子供の遊ぶ海岸にも漂着し、本当に取り除きたいものが取り除けずに放置されている現状を訴えました。
環境省水・大気環境局海洋環境室室長の中里靖氏は、問題の科学的知見が不足していることから、実態の把握や将来予測、生態系への影響などについて環境省の調査が行われていることを紹介しました。また、産業界、自治体、NGO、市民など幅広い主体による取り組みを促進するためのプラスチックスマートキャンペーンについて紹介しました。
最後に、UNU-IAS 客員シニアリサーチフェロー ・環境省参与の早水輝好氏がプラスチックごみ問題に関する国際動向として、UNEP(国連環境計画)専門家グループ会合の検討状況を報告しました。会合では、各国が協力し対策に取り組む必要性と科学的なデータが不足していることが共通認識として確認された一方で、国際的にどのような枠組みで取り組んでいくかについては様々な意見が出されたと報告しました。
後半は、環境パートナーシップ会議副代表理事の星野智子氏がモデレーターとなり、登壇者や参加者を交えて議論が行われました。問題の解決に向けた具体的な方策として、関心のない人を動かすための仕組みづくり、経済的なインセンティブを作り企業を動かすこと、地域資源を活用して自治体レベルから先駆的な取り組みを進めてゆくこと、現状を発信し知ってもらうこと、陸上のごみの管理を徹底することなどが挙げられました。